東京五輪も影響与えた2年ぶり日本開催 第2の「ZOZO」は?
◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ 最終日(24日)◇アコーディア・ゴルフ習志野CC (千葉県)◇7041yd(パー70)
昨年約3カ月の中断を挟みつつ、コロナ禍でもシーズンを消化してきたPGAツアー。その力をもってしても、依然としてアジア圏でのトーナメント開催のハードルは高いままだ。韓国での「ザ・CJカップ」が2年連続で米国に舞台を移し、「WGC HSBCチャンピオンズ」は中止を余儀なくされた。
2年ぶりの日本開催を実現した「ZOZOチャンピオンシップ」が唯一のケース。PGAツアーのシニア・バイスプレジデント、クリスチャン・ハーディ氏は「ZOZOをはじめとするパートナーの多大なる努力が大きい」と感謝を語る。
昨年の米国開催を経て、今年に入ってからZOZO、日本ゴルフツアー機構(JGTO)などとの会議が本格化。日本政府との話し合いも、数カ月をかけて進めてきた。
コロナ禍でもトーナメントを開催してきたPGAツアーの“実績”は信頼の礎となった。そして、今夏「東京五輪」の影響も小さくなかったという。「安全にオリンピックが開催できたことも判断材料になった」。五輪ゴルフ競技の会場にはPGAツアーのスタッフも入っており、コロナ禍での運営のノウハウは引き継がれた。松山英樹のマスターズ優勝、稲見萌寧の銀メダル獲得といった快挙による日本ゴルフ界の盛り上がりも機運を高めた。
チャーター機で来日し、入国後の移動はホテルとコースの往復に限定するバブル方式。ホテルはフロアやエレベーターを選手やキャディ、関係者専用とすることで「(一般客とは)別のホテルに泊まっているような形にしている」。ホテルのジムなどでウォーミングアップを行うのが一般的なPGAツアー選手に配慮し、専用フロアのスペースを利用して体を動かせる場所を確保した。今平周吾によれば「“コンビニ”が作ってあるので、ちょっとしたものは買える」環境も整っているそうだ。
今年で3度目のトーナメントとなるZOZOとの契約は6年間。アジア太平洋地域を管轄するゼネラルマネジャー、クリス・リー氏は「来年は(韓国、中国を含めた)アジアスイング3試合を行いたい」とした上で、ツアーとしての今後の展望にも言及した。
「日本はマーケットとしても世界第2位。欧州ツアーとの提携を通じて、日本でアジアンツアーやJGTOとともに新たな大会を開催することも視野に入れている。JGA(日本ゴルフ協会)やPGA(日本プロゴルフ協会)とも話し、チャンスを探している。将来的に日本でプレジデンツカップも開催したい」。コロナ禍での大会成功は、第2の「ZOZOチャンピオンシップ」誕生にもつながっていくかもしれない。(千葉県印西市/亀山泰宏)
■ 亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール
1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。