松山英樹の新スポンサー・NTTデータは「マスターズ」優勝前から交渉
日本男子初のメジャーチャンピオン・松山英樹に頼もしい味方が加わった。今大会でウェアの右袖に新しく入った、スポンサーの株式会社NTTデータのロゴをお披露目。契約発表は「マスターズ」優勝から1カ月後の今月11日に行われたが、水面下での交渉はオーガスタでの戦いの前から行われていた。
取締役常務執行役員、戦略統括本部長の鈴木正範氏が「実は2021年の年明け以降、今回の協賛の相談をしていました」と明かす。システムインテグレーター大手の同社は、2013年から男子メジャー「全英オープン」のオフィシャル・パトロンとして大会をサポート。そしてこの冬、日本のナンバーワンゴルファーに白羽の矢を立てていた。
松山は2017年の夏以降、メジャーはおろかPGAツアーでの優勝からも見放され試行錯誤を続けていた。今年に入ってからは「マスターズ」までトップ10入りがないという事態に。同社はそれでも「NTTデータは、ITサービス分野でGlobal Top5になるという目標を掲げ挑戦を続けていますが、その道のりは決して容易くありません。松山選手は多くの悔しい思いもしながらも工夫や努力を重ねてメジャーでの勝利に挑戦し続けており、私たちは以前からその姿に励まされ、共感していました」とバックアップする姿勢を貫き、3年契約を決めた。
アジア出身選手として初のグリーンジャケット獲得という快挙に“便乗”したわけではなく、結果的に松山の市場価値が再評価されるタイミングで契約に至った。鈴木氏は「『ともに世界の頂点を目指して挑戦したい』と考え進めていたのですが、松山選手が4月にマスターズで優勝され、『私たちも“後れを取ることなく”進みたい』と言い換えねばならなくなりました」と笑う。
「マスターズは、1ファンとして連日テレビに張りついて観戦しましたが、最終日の苦しさを乗り越え笑顔でグリーンジャケットを羽織る姿に胸が震えました。今後ますます世界で活躍し続ける松山選手を応援するとともに、NTTデータも負けずに世界のマーケットへ立ち向かいたいと思います」
キャリアの長いプロゴルファーはこれからも浮沈を繰り返す。苦しいときも地道な努力を認めてくれるサポーターが増えた。(編集部・桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw