リディア・コー 「世界で最も影響力がある100人」の栄誉

カリフォルニア州サンフランシスコで開催された米国女子ツアー「スウィンギングスカートLPGAクラシック」で優勝を飾ったのは、大会初日に17歳の誕生日を迎えたばかりのリディア・コー（ニュージーランド）。昨年10月のプロ転向後2勝目（アマ時代を含むと通算6勝目）で米ツアーは通算3勝目。ツアーメンバーとしては初めての勝利だった。

コーと最後まで優勝を争ったのは、ツアー8勝（メジャー2勝）を誇るステーシー・ルイス。予選ラウンドから4日間を同組で回り、最終ホールまでデッドヒートを繰り広げた。コーが1打リードして迎えた72ホール目の18番では、先にピンそば2メートルのバーディチャンスにつけたルイスに対し、コーは左ラフから2.5メートルへと運び、このパットを沈めて逃げ切る勝負強さを発揮。「彼女の一番凄いところは、必要な時に、必要なショットやパットを決められること」と、元世界ランク1位のルイスに言わしめた。

コーは、12年1月に豪州女子ツアー「ニューサウス・ウェールズ女子オープン」を14歳9ヶ月5日で制し、石川遼を上回るプロツアー史上最年少優勝記録を更新。同年8月には米国女子ツアー「CN カナディアン女子オープン」で同ツアー史上最年少記録も塗り替えた。

迎えた今週、コーは米国タイム誌が選ぶ「世界で最も影響力がある100人」に選ばれた。米国大統領のバラク・オバマや、昨年2度目のバロンドールに選ばれたクリスティアーノ・ロナウドら蒼々たるメンバーが含まれるこのリストに関するタイム誌の説明は次の通りだ。

「これは、世界で最も権力を持つ人々でも、最も洗練されている人々でもなく、最も影響力のある人々のリストである。彼らは科学者や思想家、哲学者、リーダーであり、時代の象徴、アーティスト、ビジョンを描く人々だ。自身のアイデアやビジョン、活動を通して世界を変え、大衆に影響を与える人々である」

それが、この17歳の少女の立ち位置だ。元世界ランク1位のアニカ・ソレンスタム（スウェーデン）も、「彼女は祖国・韓国だけでなく、また幼少期を過ごしたニュージーランドだけでもなく、地球上のすべてのジュニアたちに対してゴルフに興味を向けさせる責任を担っている」と賛辞を送った。

「普通は“スイート・シックスティーン”っていうけど、私にとっては“スウィート・セブンティーン”ね」と、コーはこの特別な1週間を振り返った。「幸せな時は涙を見せないようにしているんだけど、最後のパットを決めた時、そして優勝スピーチをしている時はあやうく涙がこぼれそうだったの」。

普段はホテルとゴルフ場、それに近くの韓国料理屋を行き来するのがコーのおきまりのコース。だが、明日は家族と共にサンフランシスコ名物のケーブルカー見物に行くつもりだという。まだ、あどけない17歳。だが、世界を席巻する17歳だ。（編集部／今岡涼太）