2011年 エビアンマスターズ by Societe Generale

金田久美子、あまりにもったいない3打罰

2011/07/22 05:42
海外だからこそ、きっちりとルールを確認して試合に臨むことは大切だ

2番(パー3)はトリプルボギーの「6」、続く3番はダブルボギーの「6」。序盤のわずか2ホールで5ストローク落とした「エビアンマスターズ」初日の金田久美子。結局この日は通算3オーバーの「75」まで巻き返したのだから、余計にこの2ホールの大叩きが悔やまれる。それが、ゴルフプレーによるものでないのだから、なおさらだ。

ことの成り行きはこうだ。この日は朝から降る雨の影響でプリファードライのローカルルールが適用されていた。2番のティショットでグリーンを外した金田は、ラフにあったボールを拾い上げて1クラブレングス以内にプレース。このホールはボギーとする。

続く3番でも同じくラフから拾い上げてプレースしようとしたところで、同伴競技者から指摘されたのは、この日はフェアウェイやカラーなど芝を短く刈られた場所でのみ、プリファードライが適用されるということ。結局、2番は誤所からのプレーで2打罰、3番ではインプレーの球を拾い上げたことで1打罰。合計3打のペナルティが課せられた。

「動かしていい試合は初めてだったので、ルールが分かりませんでした。良い勉強になりました」と金田。選手本人の責任とは言え、1打の差が明暗を分ける世界。あまりにもったいないミスだと言える。

確かに日本では状況によって、スルーザグリーン(ラフも含む)で1クラブレングス以内のプレースが許されることもあるが、いずれにせよスタート前にルールを確認しておくのは大事なこと。今大会に出場している別の日本人選手の関係者は、「だから毎朝LPGAルームに行きなさいと言っているの」と、口を尖(とが)らせた。

その言葉通り、LPGAルーム(協会オフィス)に行くと、その日の適用ルールを知らせる書面が置かれている。当然この日のプリファードライの適用方法についても、英語ながらも詳細に示されている。

自分で答えを探しに行くこと。特に海外に出れば、その国やツアーの慣習があるので日本で当然と思っていることがそのまま通用しないことはざらにある。プリファードライを例にとっても、米ツアーでは1クラブレングス以内にプレースだが、欧州ツアーでは1スコアカードレングス(6インチ)以内というのが通常だ。

余談になるが、今大会に出場している大山志保は、成田からジュネーブに到着した月曜日にキャディバッグが届かずに、火曜日の夕方まで待たざるを得なかった。その間、もしクラブが届かなかったら金田に借りようとお願いをしていたという。金田はこんな事態を想定して、クラブを2セット持ってきていたからだ。

そんな配慮があるのだから、もう少しいろいろなことを“知る”機会があれば、より高いレベルでパフォーマンスを発揮することができるはず。海外で戦う難しさや面白さは、こういう微細なところにも潜んでいる。(フランス・エビアン/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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