単独首位!キム・インキョンの意外(?)な一面
今季の米女子ツアー開幕戦「ホンダLPGAタイランド」の練習日、上位選手のスイングを撮影しようと強烈な日差しの照り付けるコース上で待機していた。とある選手がグリーンに来て、周辺のアプローチや、パッティングラインの確認をしている。それを眺めながら、次のティグラウンドまでのインターバルで撮影許可を得ようとタイミングを窺っていた。
グリーンを終えた選手が歩いてくる。話し掛けようとすると、先に向こうから口を開いた。「すごく、暑いですね」。身振りを交えながら、笑顔で話してくれたのはほぼ初対面のキム・インキョン。初日を終えて、9アンダーで単独首位に立つ選手その人だ。
日本語を話せるとは知らなかったので聞いてみると、アメリカで高校時代のルームメイトが日本人だったそうで、少し日本語を勉強したのだという。次のティグラウンドで後方からのドライバーショットを撮影すると、満足そうに「このスイングをプレゼントするわ」と微笑んだ。
昨年、「ロレーナ・オチョア・インビテーショナル」でツアー3勝目を飾ったキムは、その時の優勝賞金22万ドルを全額寄付している。半分は大会ホストであるオチョアが主催するロレーナ・オチョア・ファンデーションへ。もう半分はアメリカの慈善団体へ。
「私がアメリカへ来る前の16歳の時、アメリカへは行きたいと思っていたけど、それが簡単でないことは分かっていました。両親は凄く一生懸命やってくれて、お金持ちじゃなかったけど、私の渡米費用と学校へ行かせる為に沢山のお金を使ってくれた。でも、そこには両親を助けてくれる一人の人が居ました。もし彼が両親を助けてくれなかったら、そしてもし私がアメリカへ行くことに手助けしてくれなかったら、今の私はここにはいない。みんな助けを必要としているから、私もそうしようと思うの」。
初日は第1組からスタートして、首位発進。2日目は12時23分スタートの最終組。「大事なことは良く食べて、良く寝る事。だって、とても暑いから」。昨日はその言葉通り、全選手が上がってくる前に早々にコースを後にした。会場を出ていくその後ろ姿に、残り3日の幸運を祈った。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka