2022年 全米女子オープン

“スポットスポンサー”12社 馬場咲希の全米挑戦を後押ししたアマ規則改訂

2022/06/07 14:31
ウェアにはスポンサーのワッペンがズラリ

◇海外女子メジャー◇全米女子オープン presented by プロメディカ 最終日(5日)◇パインニードルズ・ロッジ&GC(ノースカロライナ州)◇6638yd(パー71)

「もう借金をして行かないといけないのかなっていうくらいでした」―。全米女子オープンで日本人アマチュアとして8年ぶりに予選を通過した馬場咲希(日本ウェルネス高2年)の父・哲也さんは振り返る。口調は冗談めかしていても、本当にそうなっていた可能性があったかもしれない。

17歳の誕生日だった4月25日に日本の最終予選会を突破してつかんだ切符。将来の米ツアー参戦を目指す馬場にとってこれ以上ない経験になることは分かっていても、出場には高額な費用がかかる。往復の飛行機代に宿泊費用、米国滞在中の諸経費…。「100万じゃ、足らないです。(同行する人数など)必要最低限で行っても大変だなって」(哲也さん)

サポートを力に4日間を戦い抜いた

大きかったのは今年1月のアマチュア規則の改訂。全てのスポンサーシップ契約の制限が撤廃されたことで、哲也さんも予選会終了後に費用の捻出に動くことができた。「紹介をいただいたり、個人的に付き合いのある方々にお願いもしました」。助力を快諾してくれた企業は12社にのぼるという。

キャップやウェアには、いずれも今大会限定“スポットスポンサー”のワッペンがズラリ。「本人が頑張って誕生日に予選を通って、助けてくれる方々がいらっしゃって、すごい経験をさせていただきました。本当に感謝しかありません」と繰り返す。

175㎝の長身。将来は米ツアー参戦を目指す

4人姉妹の次女。もともとはゴルフ好きの哲也さんが「娘が4人なので、1人くらい遊び相手をつくっておかないと、寂しい老後になっちゃうのかなって思ったんです」と軽い気持ちで勧めた道だった。徐々に頭角を現し、世界一を決める大会で4日間を戦い抜いた。憧れのネリー・コルダにも会い、海外挑戦の思いはいっそう燃え上がった。

次なる目標を見据える

7月にはケンタッキー州で開催される「全米女子ジュニア」にも参戦。「海外でやりたいという本人の思いもありますから、なんとかオーガスタに出られたら最高ですよね」と話すように、その先に2023年4月「オーガスタナショナル女子アマ」を見据える。規則改訂が後押しした大舞台を経て、親子の夢は広がっていく。(ノースカロライナ州サザンパインズ/亀山泰宏)

■ 亀山泰宏(かめやまやすひろ) プロフィール

1987年、静岡県生まれ。スポーツ新聞社を経て2019年にGDO入社。高校時代にチームが甲子園に出場したときはメンバー外で記録員。当時、相手投手の攻略法を選手に授けたという身に覚えのないエピソードで取材を受け、記事になったことがある。

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