レギュラーツアーは人生の修行 もうひとりの“賞金女王”の戦い
国内女子ツアーは11試合で4勝を挙げた鈴木愛が好調のまま、前半戦を終えた。しかし、昨季ステップアップツアーで3勝を挙げた、もうひとりの“賞金女王”天良(てんら)枝里子にとっては苦しい戦いとなった。
「ステップアップからレギュラーツアーに来て、空気に慣れるのに何試合か必要でした。最近やっと慣れてきましたけど。自信とかは全然ありません」。今季から前年のステップアップツアー賞金ランク1位には、第1回リランキングが行われた前週「アース・モンダミンカップ」まで、レギュラーツアー出場権が与えられており、天良は主戦場を変えてクラブを握ってきた。
今季はレギュラーツアー17試合に出場し、予選通過は8試合。最高位は「サイバーエージェントレディス」の16位で、暫定リランキングでは37位(約370万円)につける。2017年は2000万円以上の賞金を獲得した29歳にとって不本意な成績かと思われたが、「これだけ予選を通過して良かったと思います。おまけで出させてもらっているのに、上出来です」と胸を張る。
ただ、下部ツアーとのレベルの違いも実感している。「昨季はショートゲームがすごく良かった。ドライバーは曲がっていたけど、アプローチやパターで拾えていた。レギュラーはグリーン周りが難しくて」。昨季はステップアップツアーでリカバリー率3位だったが、今季のレギュラーツアーでは77 位と高い壁に直面している。
賞金総額も高いレギュラーツアーでは、精神面でのプレッシャーにもさらされた。「人生でこれだけ緊張することはない。どこにでもギャラリーの方がいますし、過敏性大腸炎になりました。ご飯を食べたらすぐにお腹を壊すんです」。現在もティオフ前の薬服用は欠かせない。
「開幕戦からの4カ月は人生の修行やと思っている。何年もここで戦っている人は本当にすごい」。今年2月に結婚し、名字が「谷河」から「天良」となっただけに期する思いはある。「家族から応援してもらっているし、前半で学んだことを後半も生かしたい」と表情を引き締めた。(編集部・玉木充)
■ 玉木充(たまきみつる) プロフィール
1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。