三浦桃香 天国の祖父に感謝「おじいちゃんが見守ってくれた」
◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 初日(23日)◇UMKCC(宮崎県)◇6505yd(パー72)
三浦桃香が地元・宮崎で首位タイ発進。そんな頼もしい19歳を祖母・良子さん(75)はロープ脇から9ホール見守った。その手には今月5日に他界した祖父・孝哉さん(享年73)の小さな遺影があった。
三浦の母・恭子さんは「うちは一般的な家庭で、ゴルフをやらせてあげられるほど裕福ではなかった」という。宮崎市内で薬局を営んでいた母方の祖父・孝哉さんは「ゴルフ費を出す」と遠征費など金銭面で支え続けた。
祖父は仕事が忙しく、かわいい孫の大会を見に行くことはほとんどできなかった。それでも、「いつか(三浦がプロになって)アクサレディスだけは見に行く」と楽しみにしていた。
しかし、今月5日に孝哉さんは癌のために他界。同週開催の「PRGRレディスカップ」に出場予定だった三浦は母に欠場したい、と伝えた。だが、シーズン前半戦に結果を残す必要のあるリランキング対象のツアールーキーにとって、1試合も無駄にはできなかった。
悲しみをこらえて出場した「PRGRレディスカップ」ではプロ初の予選突破(結果41位タイ)。続く前週の「Tポイントレディス」では初の最終日最終組を経験(結果22位タイ)するなど、ひと回り成長した姿で地元に戻ってきた。
この日、三浦はハーフターンで祖父の遺影に気づき、後半に6バーディ(1ボギー)と伸ばしてトップに躍り出た。ホールアウト後も最後の一人になるまで練習し、「わたしにとって本当に大きな存在だった。言葉をかけてもらうというか、受け入れてくれていた。もしかしたら、おじいちゃんが見守ってくれたからよいショットを打てたのかなって」と笑みを浮かべた。
もちろん、目指すは天国に届けるプロ初勝利。「おじいちゃんはもちろんですが、みんなです。おばあちゃんも足の悪い中で来てくれた。知り合いだってたくさん。地元の方たちからも声をかけてもらった。本当に嬉しかった」と話した。
春風舞う夕暮れどき。「だから、みんな、なんです」と優しく感謝の言葉を繰り返した。(林洋平)