強風は「想定外」か?最終日中止、求められたぎりぎりの判断
徳島県のグランディ鳴門ゴルフクラブ36で行われた国内女子ツアー「リゾートトラストレディス」の最終日は、平均7~8m/秒、最大15m/秒に達した強風のため、最終ラウンドが進行中に中止となった。第2ラウンドを終えて通算9アンダーの単独首位だった表純子が優勝を飾った。
国内女子ツアーで最終日が中止になったのは、2013年10月の「富士通レディース」(千葉県・東急セブンハンドレッドクラブ)以来。強風による中止は2009年4月の「フジサンケイレディスクラシック」(静岡県・川奈ホテルGC)に続き、2度目となった。
最終日、13番のグリーンで堀琴音が1mのパーパットを打つ直前、突風が吹き、ボールが約10m転がって奥のカラーまで押し出された。すぐに競技委員を呼んで処置を委ね、再びアドレスに入ったが、風で身体があおられボールを打つのは困難な状況だった。
その場で20分以上に及んだ協議の末「グリーンが湿った状態でもボールが動くと判断」(日本女子プロゴルフ協会の森岡まゆみ競技委員長)し、午後0時58分に競技の中断が決まった。
その後は強風に加え、雨も混じり始めた。天候回復を見込めないとして、午後2時30分に競技中止が決定された。この時点で、すべての選手が前半の9ホールを終えていた。しかし、最終日の競技を18ホールから9ホールに短縮するには、スタート前に告知した上、すべての選手が同じティからスタートするワンウェイ方式を採用しなければならないという規定がある。このため、第2ラウンド終了時のスコアが、最終成績となった。
同協会の鈴木美重子副会長は「ここまでの強風は予想できなかった」と説明。「事前に予想できていれば、何らかの検討はしていた。ワンウェイ、スタートを早めるなどの対策はあった」とし、想定外の事態だったことを強調した。
今大会は、最終日のプレーを地上波テレビで「生中継」(午後1時55分-午後3時20分)する、年間でも数少ない大会だった。放送時間に合わせるため、第1組のティオフ時間は多くのトーナメントと比較して1時間~1時間半ほど遅い午前8時45分に設定された。地元の気象台の天気予報だと降雨は午後3時から。降り始めが早まっただけで、時間を追うごとの天候悪化は織り込めたはずだ、との見方も否めないが、スタート時点では最終組のホールアウトまで天気がもつ計算だった。
屋外スポーツのゴルフは大自然の摂理には抗えない。テレビで全国の視聴者にプロトーナメントの臨場感を伝えることももちろん大事だ。そのぎりぎりの判断が求められた最終日だった。「たら、れば」を挙げればきりはないが、異なる判断、違う終幕はあり得たのかもしれない。(編集部・糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。