目標は「“シ”アー1勝」。 葭葉ルミが今季3度目の優勝争い
「(今週は)ボギーがあまり出ないんです(笑)」。そう、いたずらっぽく笑って会場を後にしたのは、今季初めてツアーへのフル参戦が叶ったプロ3年目の葭葉ルミだ。富山県の八尾カントリークラブで開催中の国内女子ツアー「日医工女子オープン」2日目、7バーディ2ボギーの「67」をマークして、通算8アンダーは首位と4打差4位に浮上した。
2週前の「ニチレイレディス」から男子プロが好んで使用するマッスルバックアイアンに変更し、“男前クラブ”で自己最高位の2位でフィニッシュした葭葉。新アイアンもようやく身体に馴染み、今大会では「抑え目な」打ち方を試合で実戦中とか。この日2番ではこの実戦中のショットをピンそば1メートルにピタリとつけて、バーディを奪うなどアイアンショットの好調さが光った。
これで最終日の優勝争いは、今年3月の「ヨコハマタイヤPRGRレディスカップ」、「ニチレイ-」に続き3度目だが、「(優勝争いに)全然慣れない」と苦笑い。「大事なところで力が入っちゃって」と初勝利への逸る気持ちのコントロールに苦しみ、ただでさえ厳しい栄冠への道をより複雑にしてしまっている。どうやら、可愛いビジュアルとは裏腹に、行けるところまでとことん突っ走りたい性分らしい。
ここまでツアー全試合に皆勤。しかも「疲れは全くない」と言いきり、来週ようやく迎える国内女子のオープンウィークにも「練習します!」と即答する練習の虫だ。決して結果を急いでいるわけではない。「焦らず確実に成長していきたい」という強い思いで、限界を決めずに前進することに没頭しているだけなのだ。
今季の目標は「ツアー1勝」。以前の取材時にそう語ってくれたことがある。ただ、色紙に書いてもらった文字はどこからどう見ても「シアー1勝」。「ツ(つ)」ではなく「シ(し)」にしか見えなかった。「あれっ、“シ”?“ツ”?(笑)」。彼女が憎めない天然キャラクターあることを、この時に悟った。
目の前の1打に集中する天然力が何よりの武器。ここまで幾度となく逸したチャンスにもめげず、高々と掲げた「シ(ツ)アー1勝」の目標をクリアする日は、そう遠くないだろうと密かに思うのだ。(富山県富山市/糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。