大山志保、気を遣いすぎた痛恨のOB
2年ぶりの優勝を狙い、首位と2打差の5位タイで「ほけんの窓口レディース」最終日を迎えた大山志保。4番パー5でバーディを奪うと、6番でもバーディ。この時点で首位と1打差まで迫っていた。
今大会の9番ホールはティグラウンドのみギャラリーが観戦できるが、グリーン回りを含めその後は無観客状態でプレーが続けられる。左足上がりのライから2打目を放った大山のボールは、グリーン左奥のラフに入ってしまった。左足下がりでグリーン面が大山のサイドからは急な下り傾斜。ウェッジのソールを上手く滑らせたアプローチだったが、ピンを2メートルオーバーしてしまった。大きく左に曲がりラインを読み切り、ナイスパーセーブとした大山は、その場で右腕を6回振る大山式ガッツポーズを披露した。
決勝ラウンドでは後半へ入るインターバルがなく、他の選手はすぐに10番ティグラウンドに向かったが、大山はクラブハウスに戻った。出てきた時には前半に履いていたレインパンツを脱いでいた。
そして、小走りにティへ上がると、ドライバーを持ちティショットを放った。ボールはセンター方向に飛び出したが、その後右サイドに急激に曲がりギャラリーの頭上を越えてOBゾーンへ消えていった。
「今日はあのティショットですね。いま思うと何であんなに安易に打ってしまったんだろう・・・」。ホールアウトした大山は、OBになった10番ホールの第1打を振り返る。「雨も上がりだしたし、気温も上がってきたのでレインを脱ごうと思っていたんです。どこで脱ごうかと。プレー中にギャラリーの前でというのもおかしいと思ったので、9番を終えてトイレに行きました。出てきたら、もう最初の人が打っていて、自分の番なのはわかっていたので、すぐにアドレスに入っちゃたんです」。
通常のルーティンである、ボールの後方に立ち目標を定めることは行ったが、その時の風や落としどころのイメージを掴まないままスイングに入ってしまったのだ。「レインを脱いだら、それまで湿っていたこともあり、少し足元が涼しいとは感じたんですよね。下半身が上手く回転しなかったので、あの球が出てしまった感じです。ギャラリーの方々も待っていてくれたので、今後は気を遣いすぎないで慎重に行動します」と反省。
「でも、こういう性格なので、また同じことを繰り返しちゃんかもしれませんね(笑)」。大山らしいミスではあるが、優勝争いでの1発のOBは命取りになる。結局、このOBから悪い流れに陥った大山は15番でもダブルボギーをたたき、優勝争いから完全に脱落してしまった。
それでも、最終18番でバーディを奪い通算2アンダーの6位タイに食い込んだことに「最後にバーディで上がれて良かった。最後はちゃんと前を向いてプレーすることが出来ましたので」と笑顔を取り戻す。この日課題となった「慌てないこと」。これを克服すれば、ツアー13勝目が転がり込んでくるかもしれない。(福岡県福岡市/本橋英治)