メジャー制覇遠のく・・・木戸愛を4番で襲った悪夢
自身初のメジャー最終日、最終組。1番ティを埋め尽くすギャラリーの大声援を背に受けながら、木戸愛は首位に並ぶフォン・シャンシャンとともにスタートを切った。
その1番でフォンがボギーとし、早々に単独首位の座に立つ。2番では3mのバーディパットがカップを舐め、3番(パー3)では3.5mのチャンスを惜しくも逃す。ここまでの序盤3ホールは、木戸が海外メジャー優勝者を相手に優位に立っていた。しかし、勝負の分かれ目は思わぬ形で巡ってくる。それも、完全に立場が逆転する形で。
左にドッグレッグする4番パー5。木戸はティショット、2打目と左サイドのラフを渡り歩き、3打目は木に当たって左のつま先下がりの斜面に。グリーン方向にある木の間の狭いスペースを狙った4打目は、再び木に当たってラフに転がり落ち、6オン2パットのトリプルボギー。1つのミスが勝敗を分けるメジャーの舞台。度重なる判断の誤りとミスの連鎖は、無残にも木戸から勝機を奪い取っていった。
「少しでもボールが見えてしまうと、背伸びをしてしまう自分がいた。抑えることができなかった。コースマネジメントをやりきれなかったことが、結果以上に悔しい」。メジャー制覇も手が届くほどの勢いから一転して露出した、経験の甘さ。「たくさんのギャラリーの方に見送られて、またここに帰ってきたいと思って・・・」。懸命に涙を堪えながら、声を震わせた。
昨年大会は、難セッティングに仕立てられた名門・和合に太刀打ちできず予選落ちを喫し、「心が折れてしまったことが、何よりも悔しかった」と振り返っていた木戸。「全く違う悔しさだけど・・・今年の方が悔しいです」。この日の4番を、悪夢のままで終えるのか、今後の成長へと繋げるのか。今年も木戸にとって、次なる試練を与える「日本女子オープン」となった。(神奈川県横浜市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。