森桜子、暗闇に差した光明
「日本女子アマ」チャンピオンに2度輝き、08年に鳴り物入りでプロ入り。誰もが将来の活躍に期待を寄せていた森桜子だが、予選通過もままならない不遇のシーズンが続いていた。その森が、今週の「ゴルフ5レディス」初日に9位タイの好スタート。これまでの苦しかった心境から現在の変化までを、切々と吐露した。
「夢を与えるプレーヤーになりたかったのに、自分は何をやっているんだろう。うまく自分を出し切れず、プロとしてパフォーマンスを出せない自分を追い詰めていた部分はありました」。アマチュア時代にその名を馳せた者にとっては、誰もが通る悩みには違いない。しかし、その中でも頭一つ抜けたキャリアを積んできた森にとっては、人一倍深い悩みとなり、心を圧迫していったのだろう。
「飛距離や精度が通用せず、自分でスイングの改造に取り組んだ」。そして、「スイングの形ばかりを気にして、自分の感覚が消えてしまった」という悪循環。「どうにかしたい気持ちがありながら、気持ちが腐っていた時期もあった」と、理想と現実とのギャップに打ちひしがれた時期もあった。
そんなどん底の状態から、自らを初心から見つめ直すことで活路を見出した。アマチュア時代の実績など、関係はない。「アマチュアとして成績を残していただけで、技術がまとまってなどいなかった」。そんな自らを省み、導き出した答えが「自分の持味であるフェード一本でいこう」というシンプルプラン。多くを取り組み過ぎず、スイング改造の方向性を絞っていった。この日もフェードを軸としたショットが冴え渡り5バーディを量産。久々にフィールドで輝きを放つ原動力となった。
その森が繰り返し口にしていたのが、周囲の人々への感謝の言葉だ。「両親や地元の方々など、いろいろな方にサポートやアドバイスをしていただいた。それだけで頑張れていた部分もあったし、早く形にしたかった。今日も感謝の気持ちいっぱいでラウンドをしていました」。森のポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。これまでの“恩返し”の終着地はまだまだ先にあるはずだ。(岐阜県瑞浪市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。