「今が大事・・・」古閑美保の“覚悟”
古閑美保の“覚悟”が窺える会見だった。「meijiカップ」初日、9バーディ、ノーボギーの「63」をマークして2位に4打差をつけての単独首位発進。昨年10月に古傷の左手首痛が再発してから不振を極めていた古閑は、こう口にした。「もう、手首が治ることはないと思います」。
「今日は入り過ぎました」と、この日25回に抑えたパットをビッグスコアの要因に挙げる。だが、古閑の中には1つの大きな変化が起きていた。手首を傷めて以降、患部への負担を減らすために「払う打ち方にしていた」とスイングを調整。しかし、「スピン量やキャリー、ランなどが(感覚と)合わなかったけど、騙し騙しプレーしていた」という。
そのスイングを、先月の「日医工レディス」から「フルショットして打ち込んでいく、今までのプレースタイル」に戻した。「痛みは出ているけど、打てるうちは打っていこうと思った。清元(登子)先生が教えてくれた打ち方だし、それが好きなファンの人もいると思う。(打つことが)できなくなってから次のことを考えよう」。
もともと、今年のオフに受けることも可能だった手術を「休んでまで長くやろうとは思わない」と回避し、「今を大事にして、痛みと付き合っていく」との選択をしていた古閑。小林浩美LPGA会長のアドバイスも契機となり、“長く細く”よりも“太く短く”ゴルフ人生を全うする道を選んだ。
最近は常々「18ホールを回れればいいと思っている」と繰り返していた古閑。この日も「ゴルフをやれることで、今は気分がいい。18ホールやれればいいです」とプレーできることへの喜びを口にする。だが、その後に、これまでには無かった言葉が続いた。「スコアが出れば、もっと気分がいいですけどね」。本来のプレースタイルを取り戻す“覚悟”を決め、自らにかける期待の高まりがちょっぴり顔を覗かせた。(北海道北広島市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。