藍の苦悩・・・タイトル争いとプレースタイルの葛藤
宮里藍にとって、今シーズン国内最後の試合となった「ミズノクラシック」。最終日に巻き返し、日本のファンの期待に応える活躍を見せたものの、通算3オーバーの69位タイで3日間を終えた。米国ツアーも、今週を含め残り3試合の中で迎えた1戦。『賞金女王』と『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』の争いの渦中にいる宮里にとっては、大きな痛手になってしまった。
賞金ランクトップを走るチェ・ナヨン(韓国)は5位タイで終え、約4万ドルを獲得。宮里との差は、約37万7000ドルに開いた。残り2試合の優勝賞金は、それぞれ22万ドルと22万5000ドル。逆転の可能性は僅かに残されてはいるが、極めて厳しい状況に追い込まれている。
一方、宮里が今シーズンの目標に掲げるプレーヤー・オブ・ザ・イヤー争いのトップは、台湾のヤニ・ツェン。今週は単独2位に入ったヤニが12ポイントを獲得し、宮里との差を14ポイントとした。優勝者に30ポイント、2位に12ポイント、3位に9ポイント・・・という配分となっており、残り2試合は優勝、もしくは上位フィニッシュが必須となる。
残り2試合への心構えを口にする言葉の端々には、宮里ならではの苦悩が見え隠れしていた。「勝ちたいと思うのは自分のスタイルではない。1打1打に集中して積み重ねて来たことが、今年の5勝にも繋がっている。そのバランスが、すごく難しい」。タイトル争い自体にも「ガツガツと狙いに行くのは、自分のスタイルではない。もちろんモチベーションにはなるけど、それを横に置いて、試合にどう集中できるか」と表現する。
タイトルは、当然ながら手にしたいだろう。だが、これまで信じ、貫いてきたプレーとメンタルのスタイルを崩すわけにはいかない。その葛藤に苦悩する様子が、ありありと伝わってきた。だが、これも宮里にとっては新しい経験。宮里は今、これからの成長に繋がる貴重な時期を過ごしている。(編集部:塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。