国内女子ツアー

プロへの道

2006/11/19 18:00
霧も立ち込めた試合終了後のパッティンググリーン。奥では表彰式が行われている。

エリエールレディス最終日、首位タイからスタートしたがスコアを伸ばせず10位タイに終わった藤本麻子(16歳)は、クラブハウスで記者達に囲まれるとハキハキした口調で話し始めた。「昨日スコアが良くて期待が大きかったと思うけど、その期待に応えられなかったのが残念です。でも高校1年で最終日最終組というのは、良い経験になりました。悔しい思いもあったので、これをきっかけにして、プロになって活かしていきたいです」。

プロ選手ですら簡単に優勝出来ないトーナメントで、アマチュアがそうそう勝てるものではない。だが、そんな中での藤本の"悔しい"という言葉が、胸に引っ掛かった。

最終組で一緒に回った魏ユンジェは、今季3年ぶりにツアー優勝を果たした脂の乗ったプロ。魏から見れば、藤本はまだ敵と呼べるような存在ではなかった。「私もアマチュア時代にプロと一緒に回ってすごく勉強になったので、今日は手本になるようなプレーを見せたかった」と、魏は言う。

その言葉通り、藤本が得たものは大きかった。「最終日は絶対にスコアを崩さないオーラを感じました。どこからでも、きっちりパーを取ってくる。バーディチャンスはバーディを取るし…。私には、小技が欠けていました」。

長年ゴルフが生活の中心となっているプロは、技術や経験の蓄積は豊富にある。だが、上手いだけでは勝てないというのも、また事実だろう。

もし来週優勝して複数年シードを取ったらという話になった時、魏は海外ツアーの可能性を示唆したが、「でも、スポンサーとかサポーターが重要です。1人では難しいですから」と、その場の話を終わらせた。支えてくれる人の大切さは、悔しい思いを多く経験するほど分かるのだろう。

18番グリーンで表彰式が行われている頃、その脇の練習グリーンで黙々とパット練習をしていたのは、同じアマチュアとして何度も優勝争いを経験している若林舞衣子だ。ここにもまた、そんな悔しさを積み重ねている選手がいた。(編集部:今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka