国内女子ツアー

史上最年少、小学校6年生の名キャディが登場

2006/08/11 18:00
小さな体でキャディバッグを担ぐ息子を気遣いながらラウンドする木村敏美

夏休みの軽井沢。木陰に入ると風は涼しいが、照りつける太陽は厳しく、芝の上のゴルファー達は暑さとの戦いとなった。そんな大会初日、ギャラリーと関係者の注目を集めたのは、木村敏美プロだった。

今年に入って怪我や体調不良などで思うような成績が残せず、サントリーレディスの21位が最高だった木村だが、この日は4アンダーで4位タイと久々の上位進出を果たした。その原動力となったのは、小さな体でキャディバッグを担ぐ、息子の翔君(11歳)だ。

昨年、母のキャディをやりたいといった時に、「じゃあ、6年生になったらね」と言われたのを翔君は忘れていなかった。今年に入ってからもしつこく食い下がり、木村も「じゃあ、夏休みなら」と、息子にバッグを担がせる決心をした。母は、他の選手に迷惑を掛けないか、1ラウンドバッグを担ぐ体力が持つかといった心配が先にたったそうだが、3歳からゴルフをする翔君は、初めてのキャディもそつなくこなした。

「バンカー入れたら余計な仕事を増やしちゃうと考えたりして、狙いどころも変わりました」と木村は笑う。「途中で息子を見たら、真っ赤な顔をして頑張っていたし、私も一生懸命やらないと」と、最後まで集中力を保ち、18番のボギーのピンチも4mのパットを入れて凌ぎきった。

「子供でやった人いないし、昔からやりたいと思っていた」という翔君は、記者たちに囲まれると「ちょっと疲れた」とはにかんだ。母と息子の暗い話題が多い昨今、炎天下の中を二人三脚で頑張る木村親子の姿は、実に微笑ましい光景だった。(編集部:今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka