全英行きは諦めない!上原彩子が逆転Vに挑む!
ニチレイレディス2日目、トップと3打差の9位タイからスタートした上原彩子は、1番、2番と連続バーディを奪って5アンダーとし、首位を捉える勢いだった。続く3番ホール、2打目をピン上3mにつけ、上原はまたもバーディチャンスを迎えた。慎重にアドレスに入る。だが、上原は突如アドレスを解くと同伴競技者に向かって何かを話しはじめた。聞けば、アドレスに入った後に上原のボールが4分の1回転程動いたという。しばらくして、競技委員が呼ばれた。競技委員は状況を確認し、1打罰の上、ボールを元の位置に戻してプレーするように指示をした。
この状況をグリーン脇から見ていたが、ボールが動いたことは全く気付かなかった。同伴競技者やギャラリーの中でも、気付いた人はいなかったようで、最初は「どうした?」という雰囲気に包まれた。しかし、上原は自ら申告して正しい処置を行った。これは、ゴルファーとしては至極当然のことだろう。試合後、上原に話を聞いた。「あの時、競技委員さんが来るのも遅かったじゃないですか。だから、ラインを読みながら、これを決めたらかっこいいだろうなぁって考えてました」。なんと切り替えの早いこと!実際、その言葉通りにこのパットを沈めてナイスパー。ギャラリーからは大きな拍手が沸き起こった。
今週は、全英リコー女子オープン行きの切符が決まる大事な週。上原も、「すごく行きたいです」とその切符を狙っている1人だ。現在、上原の賞金ランキングは12位。5位(全が行かないと明言している為、実際は6位)に入るには、優勝が必須条件とその敷居は決して低くない。
「明日は自己ベスト(66)位ださないとダメですね」という上原だが、調子は悪くないし、スコアが出ないコースではない。「パターが入ってくれれば!」と、逆転優勝は諦めていない。
「彩子さんに勝って欲しいわ・・」。この日のスタート直後、上原彩子の組について回る関係者の1人がつぶやいた。「アスリートとして尊敬出来るんですよね」。その言葉の意味を、この1日で少し体感できた気がした。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka