まさに自然の有効利用!雪を使ったエコロジー万歳!!
「ゴルフ5レディス」が開催されている北海道美唄市は、札幌と旭川の中間に位置し、観光地といえぬ静かな町だ。周囲にビジネスホテルもほとんど存在せず、選手や関係者は30キロほど離れた岩見沢や滝川という町に滞在したり、車や電車で1時間かけて札幌から通うしかない。
そして、この美唄市は地鶏の産地として有名ではあるが、冬の時期には雪が町全体を真っ白に包んでしまうため、やはり観光客は近寄りもしない。北国や雪国では、風物詩の一つとして雪を歓迎するが、人々の生活にとっては、むしろ歓迎されないことのほうが多い。
今回、コース内のギャラリープラザ内に突如として全長2メートル級の雪だるまと、雪のかたまりが出現した。北海道の人ならば、雪を見てもさほど驚かないものだが、連日25度という北海道の真夏日に雪の塊を見て多くの人が驚き、触っていくのは子供たちばかりでもなかった。
この雪の塊は、コースの横にある空き地からもってきたものだが、特別な貯蔵庫があるわけではない。冬場に積もった雪の山に、木の皮を薄くむいた素材を暑さ30センチも積み重ねて暖を逃れてきた。準備されたばかりのときには、まだ、さらさらな新雪のような手触りを味わえたほど、保存状態が良い。
実は、この美唄市では、雪を使ったエコロジーが進んでいるのだ。最近できたマンションや、病院などの冷房に貯蔵された雪が使われている。また、温泉つきの健康ランドでは、雪解け水を再利用し、温泉の足し水として補っている。
大都市札幌では、この時期に冬場の交通マヒを解除すべく、道路下に雪を溶かず電熱線の修理を数箇所で行っていた。大都市では、雪を貯蔵することは不可能だが、土地のある地方では、このようなエコロジー運動が確実に進歩している。
美唄から至近の夕張市は財政難で市民も一緒になって、再建を目指している。雪のエコロジーしかり、町全体の力で新しい何かを取り入れることで、少しでも人々の生活に生かせればよいことだと思う。がんばれ地方!そう感じた北海道取材だった。(編集部:本橋英治)