桃子、不動の壁は高かったが…
初めて一緒に回ったのは、2006年の「ライフカードレディス」。プロになって初めての地元・熊本での大会で、初日いきなり首位タイに立った上田桃子は、2日目に不動裕理と同組となる。上田にとっての不動は、言わずと知れた地元の大先輩。しかし、上田が周囲から聞いたのは、「不動が『誰?』って言ってるよ」という言葉だった。
「あー、知られてないんだぁ」。ちょっとがっかりした上田。あれから1年半が経ち、賞金女王を獲って一躍スターダムに上り詰めた上田が、最終戦のメジャーの舞台で再び不動と最終組を回った。
結果的には、2バーディ3ボギーとスコアを落とした上田に対し、不動は3日続けてのノーボギーで格の違いを見せ付ける。このノーボギーが明日の8番まで続けば、連続ノーボギーのツアー新記録となる離れ業だ。
「私とはプレースタイルが全く違うので、勉強になるマネジメントでした」という上田。「例えば11番では、そこからバーディパットを入れるしかないですよね、っていう所に落としてくる。ピンに近いとか遠いじゃなく、そこしかないって所に落としてくる」。“私はピンばかり狙うタイプ”という上田にとって、それは新鮮な驚きだった。
技術的にも、球の高さや球筋のコントロール、抑えたショットの打ち方、ウェッジの技の多彩さなど、多くのものが上田の目にとまった。上田の母・八重子さんは、「あの子は昔から人のことをじーっと見て真似をする。見てすぐに出来ちゃうんだけど、あんまり人を見過ぎるから叱ったことがあるくらい」と教えてくれた。
ちょっぴり残念な1日だったが、思いのほか表情は明るい。「来年アメリカに行くと思うので、そこで強くなって、もう1回こういうメジャー大会で不動さんと面白いゲームが出来るようになりたいです」。上田の想い描く未来が、さらに鮮明になったようだ。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka