国内女子ツアー

技術に裏打ちされたマイペース

2007/03/09 00:00
ベテランらしい知恵でスコアメイクをする木村敏美

アコーディア・ゴルフ・レディス初日、3アンダーで単独首位に立ったのは、38歳のベテラン・木村敏美だ。これまでに通算9勝を上げている木村だが、昨年は長らく守り続けたシード権を失いQT行き。しかし、そこで7位という好成績を残し、今年のツアー出場を果たしている。そして今大会での初日首位。傍目には“ベテランが意地の復活”と映りそうだが、その実は少し違っている・・。

このオフは12月15日を最後に丸々2ヶ月、まったくクラブを握らなかったという木村。その期間注力していたのは、自身が所有するペットショップの経営だそうだ。「子犬の買い付けとか、大変なのよ~」と、時には数百キロ先まで子犬の買い付けに車を飛ばしていたらしい。

実は、「ゴルフを辞めるにしても周りがうるさいし」という理由でQTを受け、それでたまたま上位に入ったから、「出られる試合は1ヶ月に2回位は出ようかな」という感じで今年のツアーに臨んでいる。ペットショップ経営と子供達の世話、そして怪我しない程度のゴルフ、このバランスを取るというのが木村の今年のプランだそうだ。

そして、開幕前にかるーく調整してこの結果。会見に呼ばれた木村は、“企業秘密”といいながらも、いくつかの種明かしをしてくれた。

一つは、ボールを捕らえる技術について。「今の若い子達よりも、インパクトの瞬間の技術は私の方が上」と、木村はいう。「それは球のスピン量に関わってくるから、みんなグリーンが硬いとか言っているけど、私はピンをデッドに打っても止まるのよ」。これは、クラブ性能が向上したことで、今の若手にはシビアな技術が求められなくなってきた結果だそうだ。

もう一つは、クラブセッティングについて。「ゴルフは簡単にやらなきゃ」という木村は、今ではなく、5年後の自分を想定したクラブセッティングをしているそうだ。シャフトやバランス、総重量などを調整して・・。「そういうセッティングだと、物足りなかったりしませんか?」勇気ある某女性記者の質問を、「だから、あなたは100を切れないのよ」。と、バッサリと切り捨てた。

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka