緊張の中でどう戦うか? 優勝争いに絡む佐伯三貴
川奈の上がり3ホールは、いずれも印象深いレイアウトだ。16番パー5は、左手に海が迫り、風を間違えるとOBの危険もあるが、480ヤードと短いためバーディ以上が期待される。17番パー3は、砲台状の小さなグリーンを狙うのだが、ティとグリーンで風の向きが真逆になっている場合があるなど、特に風の計算が難しい。そして最終18番は、フェアウェイが右に傾斜し、グリーン手前にあごの高いバンカーが待ち構えるタフなホール。
フジサンケイレディス2日目、2アンダーからスタートした東北福祉大4年の佐伯三貴(22)は、16番の3打目を50cmに寄せてバーディとし、5アンダーにスコアを伸ばした。17番グリーンではまだ前の組がプレーをしている。ふと、ティグラウンド脇のリーダーズボードに目を向けると、一番上に自分の名前があった。
「待ち時間もあって、ボードも見ちゃって、すごく緊張しちゃいました」。このホールをボギーとすると、続く18番でもグリーン手前のバンカーにつかまって連続ボギー。結局、通算3アンダーでホールアウトし、首位と2打差の2位タイで最終日を迎える事になった。
「うーん、いいのか悪いのか微妙ですね」。苦笑いのクラブハウス。今年からTPD登録をしてツアー参戦している佐伯にとっては初めての優勝争いだ。そんな佐伯に、同じ仙台を練習拠点とする森桜子や原江里菜が声を掛ける。「頑張ってくださいね」「先輩なら大丈夫ですよ!」後輩達に励まされながら、ポツリと答える。「やっぱ、女子アマとった子は違うよね・・」。
この日は不動裕理と同組だった。1番ティで通算40勝と紹介されて、“すっげー”と思い、ついて行こうと心に決めた。「ボギーを打っても顔色一つ変えないので驚きました」。女王から学ぶ事は多かったようだ。現在愛読しているのは、片山晋呉の「賞金王」。先達から学ぶ姿勢はいかにも大学生らしい。
明日に向けて、コーチの坂詰和久氏は、「気取った事をしなくていい」とアドバイスを送る。「背伸びをしないで、自分が出来る事をやること」。最終組の一組前というポジションを確認して、嬉しそうな笑顔を見せた佐伯。「私はまだ1年生なので、勢いでいけたら良いです」。慎重に最終日のプランを明かした。
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka