韓国の若き女王、申智愛の魅力
「PRGRレディスカップ」初代チャンピオンに輝いた韓国の申智愛。4月で20歳になる若さだが、韓国女子ツアーでは昨年まで2年連続で賞金女王を獲得し、女王として無類の強さを発揮している。身長は156cmと小柄だが、この試合でも抜群の安定感を見せてくれた。だが今週、それ以上に印象に残ったのは、彼女の人柄だった。
正規の18番ホール。「(負けたと思って)一緒に回った李先輩やキャディさんに挨拶を済ませていた」という申だが、横峯が50cmのウィニングパットを外すと、驚きつつもすぐに横峯に歩み寄り、優しく肩に手を回して、人懐っこい笑顔で声を掛けた。
プレーオフが決着した時も、グリーン上で横峯を抱き締め、さらに引き上げる横峯の手を取って、「再来週のアメリカ(クラフトナビスコ)では、さくらちゃんが優勝して」と励ましたという。クラブハウスに戻った横峯は、記者を避け10分程ロッカーにこもって泣いた。横峯にとって久しぶりの涙は、申の優しさも引き金となったのかも知れない。
優勝スピーチでは、大会関係者やスポンサー、コースなどに感謝の意を表すのが通例だが、申は「選手を代表して挨拶します」と前置きした。さらに記者会見でひとしきり質問が終わると、話したいことがありますと自ら切り出し、自分が使っているPRGRのドライバーの良さをマスコミの皆さんにも知って欲しい、主催であり招待をしてくれた横浜ゴム(株)さんに本当に感謝しています、と照れくさそうに話した。
数え上げれば切りがないが、彼女の周囲に対する心遣いと、謙虚さはとても立派なものだった。ゴルフの基本は他人に対する心配りとも言うが、その点で彼女がこれだけ活躍出来るのも当然だろうと実感した。(編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka