2017年 ブリヂストンオープン

岩田寛 10年来の相棒との“一時離別”がもたらすもの

2017/10/21 20:24
岩田寛は悪天候の最終日とその先を見据えた

◇国内男子◇ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 3日目(21日)◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉)◇7119yd(パー71)

やまない雨に打たれながら、岩田寛はスコア提出を終えるなり練習場へと歩き出した。人もまばらなドライビングレンジでショットを放ち、パッティングも整えて一日を終えた。18位タイから「67」で、3位タイに順位を上げた土曜日。競技成立となる予選36ホールを終えて通算6アンダーとし、首位と3打差に迫った。

第1ラウンドの序盤4ホールで3オーバーだったことを考えれば、ナイスカムバックに違いない。「(小平)智と上井(邦裕)にショットもパットも教わったら良くなった」と話していたのが2日目のこと。一夜明けても「きのう、きょうは(以前よりも)良くなった。3オーバーまで行ったけれど、今まではそこからズルズル行ってたから」と納得顔で振り返った。

この日は3mを沈めた3番以降、4つのバーディを奪取。ティショットを左の林に打ち込んだ15番では、カラーからパターで5mをねじ込んでパーを拾った。「前進している? この感じだったら、進みますけどね。もうちょっと良くなりそうだから」。米ツアーの出場権を失い、国内ツアーに復帰したのが8月下旬。今年で切れるシード権の維持に向け、勝負の季節にわずかでも笑顔が戻ってきた。

岩田はこの秋、ひとつの決断を下した。約10年にわたってバッグを預けてきた新岡隆三郎キャディとのコンビを、“一時的に解消”した。2週前の「ホンマ・ツアーワールド・カップ」で予選落ちして相棒に告げた。「僕が、甘えている部分があって」。今週は東北福祉大時代の後輩プロ・下向裕也をキャディに起用。岩田は「自分で(計測を)全部やったんで、何回も距離を間違えた」と苦笑いする。

主戦場を日本に戻しても「(米滞在時と同じで)ずっと引きこもっていた。違いは言葉がわかるくらいで、何にも変わんない」と、精神的に追い込まれる状況は変わらなかった。ただ、「下手だから練習しないといけないと思った。最近」

前週の「日本オープン」は2015年に、同大会と米ツアーとの二重エントリー問題の影響で、出場停止処分を受け、練習に励んだ。「テレビで観る時間はあまりなくて。(インターネットのスコア)速報は見てましたけどね」と、熱心にボールを打ち込む毎日が戻りつつある。新岡キャディとのタッグ復活は「僕に自信が戻ったら」と年内中にも改めて、お願いする気持ちがあるという。

トップに3打差で迎える最終日は、悪天候により中止の可能性もある。それでも岩田は「(短縮競技は)賞金は減っちゃうし、優勝争いした時に(調子が)どうなるかとかを知りたい…」と続行の可能性を信じる。「ひとりでも、やるっすよ。どんだけ、たたいてもいいです」。表情はわずかでも晴れやかだった。(千葉市緑区/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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