駆け込んだスタジオで… 松村道央が見た“世界の松山”の強さの一端
◇国内男子◇SMBCシンガポールオープン 初日(19日)◇セントーサGCセラポンC(シンガポール)◇7398yd(パー71)
国内5勝を誇る松村道央だが、昨季はツアーデビューとなった2007年以来、初めてトップ10なしのシーズンとなった。「“ここに上げれば入る”というポジションがあったのだけど、そこに上げても入らなくなって…」。松村がぶつかった壁、それはパッティングだった。
これまでは、「谷口(徹)流で“パットは根性で入れろ!”」だったと苦笑いで告白する。師匠の教えは、“確かな技術があった上で、あとは根性”という意味だと受け止めている。だが、その技術という前提が崩れたときに、根性だけではどうすることもできなくなった。
昨季が終わって訪れたのは、東京・青山に昨年5月にオープンした「スコッティキャメロン ゴルフギャラリーTOKYO」だった。パターブランドとして絶大な人気を誇るスコッティキャメロンが、米国サンディエゴや静岡県浜松市にあるギャラリーと同等のものを東京にも開設した。最先端機材がそろったフィッティングスタジオも完備されている。
ヘッドの軌道、フェースの向き、ボールの転がり、球の位置…。自身のストロークを数値化して見たのは初めてだった。担当者には「プロだからと遠慮しないで、気になることはなんでも言ってください」と壁を破るのに必死だった。詳細は胸に締まっておきたいという松村だが、「指摘されて、自分の中でのチェックポイントは見つかった」と、すがるもののない不安からは解消されて、新シーズンを迎えている。
大会第1ラウンドは4オーバー。まだ本来の調子とは言い難いが、「一瞬、不安になりそうな時間もあったけど、やってきたことをやればいいと思うと不安はなかった」と、パッティング復活への道筋に迷いはない。
「ちなみに、そのスタジオに一番多く来ているプロって誰だと思います?」と松村が話題を変えた。「松山英樹なんですよ。アメリカにいるのに、もう3回も来ているって。調子が良いときのストロークを残しておきたいって、全部記録しているそうです。年末にも数回来ているかもしれないし…」。
「やっぱり抜かりがないですよねぇ」。トッププロをもうならせる“世界の松山”の行動。松村も同じ学び舎で得たものを生かし、ツアー6勝目に向かう。(シンガポール・セントーサ/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka