地道にコツコツ 竹谷佳孝が描く2勝目までの道のり
◇国内男子◇HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 3日目(5日)◇総武カントリークラブ 総武コース (千葉)◇7214yd(パー70)
佳境を迎えた賞金王争いの裏で、地道に一歩一歩、自分と向き合い続ける男がいる。竹谷佳孝、36歳。2014年の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」でツアー初優勝を国内メジャーのビッグタイトルで飾って、名を知らしめた選手だ。
鮮烈な初優勝から2年。昨季は賞金ランク43位で終え、第1シードを確保できる相当額を保持した。今季もここまでトップ10が1度、賞金約1637万円に積み上げて同ランク51位。とはいえ目標として掲げるのはツアー2勝目のタイトルにほかならない。
「1勝はまぐれ、2勝目は本物と言われるじゃないですか。2勝目の欲がないわけではないんです。僕はコツコツ積み上げるタイプ。これまでもそうだった。ひとつひとつをクリアした先に(2勝目の)チャンスが来ると信じてプレーしています」
意外にも竹谷にとっての2勝目は、「遠い目標」であるという。「“勝ち”を意識してしまうとどうやら空回りしてしまうようで・・・」とポツリ。初優勝直後は特にその気持ちが強く、気持ちだけが急いては、反省する日も多々あった。今季もシーズン序盤は安定して予選を通過してきたが、8月末の「RIZAP KBCオーガスタ」以降は、前週まで8戦に出場して、4戦で予選落ちを喫する不調に陥った。
「調子が悪い時はいつもそう。成績が悪くなる時は気持ちの乱れ、いつも自分のせい」と、心の中に見え隠れする、荒々しい感情の起伏がプレーの邪魔をする。「だから欲はかかない。いつでもフラットな気持ちで、くさらずにやる」。近道はしない。それがほかの人に遠回りに映っても、自身にとっての正攻法なのだという思いに至ったという。
5年シードを確保しているものの、手をゆるめること、妥協もしない。「2勝目の準備をしっかりとすること、最低限、賞金ランク60位以内をキープ、できれば最終戦(日本シリーズJTカップ)まで出られるような順位で終えられること、この3つを年間の目標として掲げている」。最終戦の出場切符は遠く、今の調子を考慮して、「残る4戦はすべて20位以内を狙っていくつもり」と、コツコツ貯金して堅実な足場を築いていく構えだ。
今週は初日「68」、2日目を「75」として、通算3オーバーの37位で予選を通過。3日目は2バーディ、ボギーなしのラウンドで「68」とし、通算1オーバー19位で最終日に挑むことになった。
この日のホールアウト後、ファンが持参したサンバイザーにサインを求められた竹谷は、ペンを持ちながら、一瞬考えた。既にほかの選手のサインが加えられたサンバイザーを前に、「ここ(ツバの右端)は“メイン”の場所だから・・・」と言って、控えめに位置をずらしてサインした。「僕なんてまだまだですから・・・」。竹谷佳孝はそんな男だ。(千葉県印西市/糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。