国内ツアー最長の535ydパー4 全選手のプレーを定点取材してみた
週末に入りようやく晴天に恵まれた「フジサンケイクラシック」3日目。開催前から話題に上っていた国内男子ツアー史上最長のパー4、535ydの5番ホールがついに実戦でベールを脱いだ。
日本ツアー史上最長を謳う“モンスターホール”を、選手たちはどのように攻略するのか。せっかくなので、この日は腹を決めて5番ホールに居座り、決勝ラウンドに進んだ全63人のプレーを定点観測した。
詳しくは後ほど紹介するが、5番で見ることができたバーディは3つ。2打目を打った選手たちが「あ~っ」とか「ウ~」とかうめき声を発することも多く、ギャラリーとしては見ごたえがあったに違いない。
スコア別でみると、バーディ3人、パー27人、ボギー23人、ダブルボギー8人、トリプルボギー1人、+4が1人。平均ストローク数は4.683で、初日(4.633)と2日目(4.650)を上回り、この日も不動の最難関ホールだった。
なお、パーオンしたのは63人中20人で、パーオン率は31.7%。2打目でアイアンを手にしたのは28人で、このうちパーオンに成功したのは15人だった。また、2打目をグリーン左手前の池に入れたのは8人。3打目以降も含めると計10個のボールが池に沈んだ。
最初にバーディを奪ったのは7組目の薗田峻輔。フェアウェイから212ydの2打目を6Iでピン右4mにつけ、「2つのショットを自分の思った感触で打てた。完璧だった」と、見ている方まで拳を握りたくなるガッツポーズを決めた。2人目はグリーン右ラフからチップインを決めたマシュー・グリフィン(オーストラリア)。3人目は左セミラフからの2打目をUTでピン奥1mに絡めたイ・サンヒ(韓国)。以上が目撃した3バーディだ。
一方で、ティショットをフェアウェイに置きながらアイアンで刻む選手も数人いた。河井博大は「2打目はピンまで240yd残るので届かない」と最初から3オン狙い。100ydの3打目をピン右奥3mに寄せてパーとし、「会心のパーでした」と笑顔を作った。また、平本穏は右ラフから刻みを選択したが、3打目のアプローチを池に入れてダブルボギーだった。
大会側が事前に535ydティの使用条件を「フェアウェイが硬く締まり、フォローの風が吹いたら」と絞り込み、雨まじりの予選2日間は前年までと同じ501ydを使っていたこともあるだろう。開幕前には選手から距離の長さを懸念する声も聞かれたが、この日の平均ストローク数4.683も、過去の富士桜CCのパー4実績で9番目の難しさ。決して常識を外れていない範囲に収まった。
大会事務局の戸張捷ゼネラルプロデューサーは「4.7台くらいは行くと思っていた」と言うから、選手たちが予想を上回るプレーを見せたということか。バーディ数は「3個から5個は出ると思っていた」と、ほぼ想定通りの結果になったことを強調した。
「(535ydを)使えて良かったです。日本にはロングアイアンを使うパー4なんてほとんどないと思う。そういうコースセットを少しずつ設けて、日本のレベルを上げていきたい」。世界標準のセッティングで選手を刺激し、満足そうにうなずいた。(山梨県富士河口湖町/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。