2015年 日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills

日本語で感謝表明 アダム・ブランドの心意気

2015/06/05 12:55
オーストラリアから来たレフティ、アダム・ブランド。だが、そのストーリーの多くはまだ語られていない。

ホールアウトした選手を取材しようと、18番グリーン脇に待機していた記者たちの元に、その外国人選手はそそくさと近づいてきた。日本ゴルフツアー機構(JGTO)のスタッフが事情を説明する。「アダム・ブランド選手が、記者のみなさんに感謝の気持ちを伝えたいと申しております――」。

国内男子メジャー「日本ツアー選手権森ビル杯」初日の出来事だ。5月のメジャー初戦「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」を制したブランドだったが、この日は4オーバーの92位タイと出遅れた。自身のプレー内容にはいっさい触れず、手元のメモをチラチラと確認しながら、たどたどしい日本語でしゃべり始めた。

アダム・ブランドです。よろしくお願いします。日本プロで優勝することができて、また日本でトーナメントをプレーできていることに感謝しています。感謝の気持ちで挨拶に来ました。これからも、よろしくお願いします」

そして、お菓子の差し入れを手渡すと、にこやかに去って行った。ただ、それだけのことではあるが、実に印象的な出来事だった。また、「日本プロ」の優勝副賞だった日清カップヌードル10年分(!)は関係者を通じて、東北の被災者を支援する団体へ寄付したという。

昨今のリーダーボードを見てみても、上位には必ずと言っていいほど外国勢が絡んでくる。国内ツアーもいつの間にか国際色が豊かになり、その傾向は今後も加速していくことだろう。選手サイドからの積極的な歩み寄りはすばらしいが、言葉や文化の壁を乗り越えてお互いを理解していこうという意識改革は、外国勢を受け入れる我々の側にも必要だ。(茨城県笠間市/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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