首位発進の近藤共弘 眉間のしわとゴルフの関係
2011年の「つるやオープン」で勝ったのを最後に、タイトルから見放されている近藤共弘。今季は7月の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」で2位に入るなど、賞金ランキングこそ22位タイにつけているが、通算5勝、脂の乗った36歳がそれだけで満足するわけにはいかない。
シーズン後半戦は、9月の「ANAオープン」から前週までの8連戦はすべて予選を通過。しかしトップ10入りは1度だけで、優勝争いに絡めていない。募るイライラはもうピーク。だから、決めた。今週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」のテーマは「楽しく、笑顔で回る」こと。澄み渡った空に浮かぶ富士山を目に、気分も一新。するとどうだ。初日8バーディ、2ボギーの「66」は、6アンダーの首位タイ発進。
「あんまり記憶にないくらい良いスコア。最近いろんなことを試したりして、悪くないのに結果が出なかった。だからもうスコアに関係なく、大好きなゴルフを楽しくやろうって思っていたところだった。バーディが8つ…嬉しいね」。安堵感よりも充実感が全身にひろがった。
近藤をこんな想いに駆り立てたのは、昨日のひょんな出来事も影響したそう。開幕前日のプロアマ戦で俳優の神田正輝さんと一緒にプレーした。ゴルフとは一線を引いた、何気ない会話の中で、神田さんがふと「やっぱり眉間にしわを寄せて過ごしていると、いいことないね」と口にした。「自分もまさにそう思っていたところで。ちょうど思いがリンクしたというか。やっぱり下を向いていても仕方がないし」。多くのことにトライし、現状打破には必死の思い。だから、少し自信を持つことにした。
今週はボールに、“地球の赤道”のようなラインを書き入れるのを止めた。パッティングの際、狙いとその線を合わせてセットしていた自分を「神経質になり過ぎるのもよくない。感覚を大事にしてやろうとね」と見直した。
ボールからも、眉間からも取り除いた線。笑顔を絶やさず、真っ白な気持ちで終盤戦を戦っていく。(静岡県御殿場市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw