日本人選手はもっと貪欲に戦うべき
連日33度を超える暑さとの戦いともなった、国内男子ツアーのアジアシリーズ初戦「タイランドオープン」は、地元タイのプラヤド・マークセンが通算24アンダーで優勝を果たした。大会期間中、スコアの伸ばし合いは止まることなく、予選カットラインは5アンダーまで。最終日も20アンダーを超えた優勝争いとなった。
最終日、7番で4メートルのバーディパットを沈めた山下和宏は、その時点で通算18アンダーまで伸ばしたが、リーダーズボードを目にし「みんな凄いですね。日本ツアーなら、自分もトップ5には入っていると思うんですよね」と、周囲が揃ってスコアを伸ばしていることに目を丸くする。
後半はスコアを伸ばせず通算18アンダーのまま12位タイに終わると「トップ10にも入れませんでした。日本だとKBSオーガスタとかトーシンとか2試合ぐらいですよね、ビッグスコアが出る大会って。確かにピン位置とか易しいとは思いますが、そう簡単にバーディは続かないし、パーだと遅れをとった気持ちになるんです。現に、今日も4つ伸ばしたのに順位が下がっているでしょ。こういう展開についていくように、もっと貪欲にならないとだめですね」と、戦う姿勢について自らを奮い立たせる山下。
一方、JGTOの山中博史専務理事も「日本人選手が優勝争いにもっと絡んでも良いと思うのですが、こういう展開になれていないのかもしれませんね。日本のツアーだと、コースとの関係性もあるので、優勝スコアを10アンダー程度にするなど、ある程度難易度を高めることがあります。でも、今回のように、攻めなければ上位に行けないという状況に慣れていない選手は焦る気持ちばかりで、のびのび戦えないのかもしれませんね。誰とは言いませんが、コースのセッティングについて苦情を言ってきた選手は、残念ながら予選を通過できませんでしたから。選手ばかりの責任ではないので、ツアー側も今回のようなセッティングを取り入れ、世界でも力を発揮できるような機会を作ります」と、今後の課題に加えるつもりだ。
今回、決勝ラウンドに残った多くの選手が「やはり経験の差が大きい」と話す。それは、コースのセッティングに限らず、気候やその国の食文化など、さまざまな慣れがもたらすものが大きい。「アジアもいろんな国があるし、コースもいろいろ。来てみないとわからないので、もっと多くの選手に挑戦してもらいたいね」とは、アジアを13年前から経験している丸山大輔。来年の開催もすでに準備段階に入っている。1年後、何人の日本人選手が優勝争いに加わっているのだろうか。(タイ バンコク/本橋英治)