賞金王が絶賛するベ・サンムン
国内男子ツアーは今週も韓国の新鋭に、初優勝のチャンスだ。福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開催中の「VanaH杯 KBCオーガスタ」は第3ラウンドを終えて通算17アンダーで近藤共弘と、ベ・サンムンがトップタイで並び、最終日へ突入する。
今季はここまで11試合を消化し6月の「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」でJ.B.パク、「ミズノオープン」でハン・ジュンゴン、そして前週の「関西オープン」でチョ・ミンギュと、韓国勢の初優勝者が続々と出現。それぞれ29歳、19歳、23歳と将来有望な選手たちばかり。しかしその彼らを差し置いて、開幕当初から最も大きな期待をかけられていたのが、2008年から2年連続で韓国ツアー賞金王に輝いたこのサンムンだ。
すらりと伸びた180センチの体格に恵まれ、正確なショットを武器とする25歳。日本ツアーに本格参戦した昨季から未勝利が続いているが、前週までに今季の出場8試合中トップ3入りが3度。そして賞金ランキング6位の約3700万円を稼いでいるのは安定した成績を残している証拠だ(同じく今季未勝利の石川遼は3位だけど…)。
昨季の日本ツアー賞金王キム・キョンテはこのサンムンと同じ1986年生まれ。「チョイさんと、ヤンさんを除けば、彼が(韓国勢で)一番上手いと僕は思う」と言う。チョイさんとヤンさんは、もちろん米国ツアーで活躍するチェ・キョンジュとY.E.ヤンのこと。自分よりも7年も早い7歳でゴルフの英才教育を受け、3年早い2003年にプロになったライバルのことを絶賛するのだ。
この第3ラウンドは5バーディ、2ボギーの「70」でスコアを伸ばしきれず2日間キープしていた単独首位の座を、近藤共弘と分け合うことになった。しかし「ティショットがちょっと悪かったけれど、パットの調子が良いですから。2アンダーフィニッシュはまあまあOKです」と、焦る様子も無い。
例年通り最終日ももちろん、スコアの伸ばし合いが予想される今大会。ちなみに今季のバーディ率(1ラウンドあたりのバーディ以上のスコア獲得率)は石川遼がトップで池田勇太が2位につける。そして3位は、このサンムンだ。後続の選手を見わたすと「みんな強い選手ばかり」との言葉の後に「でも僕も強い。大丈夫。私も自信ありますよ」。上達中の日本語でキッパリと言い切った。(福岡県糸島市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw