2019年 シンハン ドンヘ オープン

史上初の日韓共催にみる「韓国ゴルフツアー」事情

2019/09/23 18:20
優勝決定の瞬間は多くのギャラリーが集まった

◇国内男子・KPGA・アジアン◇シンハン ドンヘ オープン 最終日(22日)◇ベアーズベストチェオンナGC(韓国)◇7252yd(パー71)

日本ツアー、韓国プロゴルフ協会(KPGA)、アジアンツアーの3ツアー共催競技として行われた今大会。3ツアーおよび日韓ツアーの共催はともに初めてとなる。アジアンツアーは日本人選手も多く出場するため馴染みはあるが、韓国ツアーに関しては未知の世界という方も多いのではないだろうか。

今季の韓国ツアーは年間16試合開催されており、うちシード5年、賞金総額10億ウォン(約9000万円)以上のメジャー大会は4試合だ。大会数は近年20大会以内で変動している。日本ツアーは今季25試合を開催する。

韓国では野球、サッカー、バレーボール、バスケットボールに次いで人気のゴルフだが、日本同様に人気は女子ツアーに押され気味だという。1大会における平均観客動員数はどうか。日本の男子ツアーの2018年シーズンの平均動員数は1万5324人だが、KPGAの広報担当、ハン・トンヒさん(30)によると韓国は「平均すると1万5000人程で、去年の最多が3万2000人(ジェネシスチャンピオンシップ)、少ない大会は5000人程」。ただ、日本のように正確に記録する習慣がなく、不確かなデータではある。

都心にも近いエリアでの開催となる今大会は、当初4万人の動員を見込んだというが、だとしたら正直言って結果は失敗だろう。特に予選ラウンドの2日間は数えられるほどの観客しかいなかった。それでも最終日の午後になり、18番グリーンを囲む約600席のギャラリースタンドは、ようやく埋め尽くされた。

チケットの相場は3万ウォン(約2700円)。日本の場合、大会・主催者によって大幅に異なるが、当日券の場合、およそ平日で2000円~4000円、土日の決勝ラウンドで4000円~6000円といったところなので大差はないように思える。韓国でも客層は50代のゴルファーが多く、近年は子連れの客も増えたため「スナッグゴルフ体験などの企画も行われるようになった」と試行錯誤する。

各国の国旗も飾られたスコアボード

選手の立場から日韓を比べると事情は大きく異なるようだ。賞金総額は韓国が約13億円(143億ウォン)で日本が約33億円。優勝者に付与される世界ランキングのポイントは日本の16ポイントに対し、韓国が9ポイントとなっている。

母国を離れ、日本ツアーに参戦する韓国人選手は多い。2008年から日本ツアーに参戦しメジャー1勝を含む13勝を誇るキム・キョンテに話を聞くとその理由が見えてくる。多くの韓国選手が最終的に米ツアーを目指しているが、「韓国には兵役があるから、上手くてアメリカで通用する選手たちも2、3年行ってまた軍隊に行かなきゃいけない」と日本とは違う事情を説明した。

そのため「試合の雰囲気とか、コースのセッティングとかは、(韓国よりも)日本の方がアメリカに近い。そういう意味で、韓国はあまり上手くなれる環境じゃないから、世界ランキングも上がりやすいアジアとか、日本のツアーに行ってテクニックとかを身につけながら、世界を目指す選手が多いんだと思う」と話した。

ハンさんは今回の初の日韓共催について「すごくいいと思います。日本ツアーからも人気も実力もある選手が出場してくれた。今後もこういう大会が増えて、皆さんどんどん参加していただければ、質が高くなっていくと思います」と成功を強調した。(韓国・インチョン/柴田雄平)

■ 柴田雄平(しばたゆうへい) プロフィール

身長188cmの猫好きおじさん。O型、おひつじ座。モデル、俳優から紆余曲折を経て、WEBディレクターとしてGDO入社。2017年10月にしれっと編集部へ。13年から続けるゴルフのベストスコアは「85」。

会場の入り口に設置されたゲート

2019年 シンハン ドンヘ オープン