欧州男子ツアー

スポーツ賭博へ加速するゴルフ界 米解禁が引き金

2019/02/06 17:31
タイガー・ウッズも賭けの対象に?(写真は2018年ツアー選手権byコカ・コーラ)

欧州ツアーは5日、スポーツベッティング(賭博)のコンテンツ提供業者大手「IMG Arena」とデータ配信に関する提携を結んだと発表した。

この契約により、欧州ツアーには2020年から、現在IMG Arenaが開発中のショットデータ取得システムが導入され、リアルタイムで全選手の全ショットが収集できるようになるという。このデータは、欧州ツアーの公式データとして使われる他、IMG Arenaの契約メディアや複数のスポーツベッティング業者へと提供される。

欧州ツアーのルーファス・ハックCCO(最高コンテンツ責任者)は「この提携は我々のファンを増やし、(中略)ファンとの結び付きをより強めるだろう。合法なスポーツベッティング市場へのデータ提供は、世界中のファンたちに、いままでとは異なった道筋で我々のプロダクトを知ってもらう機会になるだろう」とコメントしている。

この動きは、昨年5月14日に米連邦最高裁判所がアメリカ全州でスポーツ賭博の解禁を認めたことが大きな引き金となっている。同年11月にスポーツ総合企業のIMGは、IMG Arenaを(2012年設立のIMG Gamingを引き継いで)立ち上げ、PGAツアーとのデータ提供契約を締結。PGAツアーで導入されているショットリンクデータ及びライブ映像を、スポーツベッティング市場で使用する権利を得た。

「より大きく、多様で、結びつきの強いファン基盤を世界中に作ることは、どのリーグにおいても成功の鍵になる。そして、スポーツベッティングは我々がそれを実行する計画の一部だ」と、PGAツアーのジェイ・モナハンコミッショナーも新市場への参入に期待を寄せている。

各ツアーの公式データを提供することは、スポーツベッティング業者にとって非常に重要だ。というのも、現在のスポーツベッティングではライブベット(インプレイベット)と呼ばれるプレー中に結果がでる賭けが人気を集めている。たとえば、「次のゴールが5分以内に決まる(サッカー)」とか、「このセットはタイブレークになる(テニス)」といった具合だ。

これをゴルフに当てはめてみると、「タイガー・ウッズが次のホールにバーディを奪う」、「ブルックス・ケプカの次の1Wショットは320ydを超える」、「次の選手がホールインワンする」など、賭けの対象はほぼ無限に広がっていく。

IMG Arenaは両ツアーと協力して八百長や不正対策にも、取り組んでいくという。日本でのスポーツ賭博は禁止されているが、欧米ではゴルフに絡んだ巨大な新マーケットの出現が目前だ。(編集部・今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka