マキロイとドナルドの優勝争いに見るゴルフの奥深さ
欧州ツアー最終戦「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」の3日目。欧州、米国のダブル賞金王が既に確定していることもあり、熱射病で体調を崩しているロリー・マキロイ(北アイルランド)が試合へのモチベーションを保てるかが疑問視されていた。
若干23歳の世界チャンピオンは「体調不良なんて、ただの言い訳。コースにでたらゲームに集中する。ただそれだけだよ」とサラっと言い放ち、1イーグル、5バーディ、1ボギーの「66」、通算17アンダーの1位と実力を見せつけた。明日の最終日は6バーディの「66」、同じく通算17アンダー、しかも連続100ホールをノーボギーでまわるという安定したゴルフを続けるルーク・ドナルド(イングランド)との最終組に全世界の注目が集まる。
思い起こせば1年前。秒読み段階と思われていたドナルドの史上初の快挙である米国&欧州の同一年度ダブル賞金王に“待った”をかけたのは他でもないマキロイだった。最終戦までもつれ込んだ賞金王争いは大いに盛り上がったが、9位以内が必須条件だったドナルドが、単独3位でフィニッシュし、世界ランクトップの貫禄を見せつけて前人未到の快挙を成し遂げた。
ドナルドの偉業を1年後には自身も成し遂げたマキロイは、試合が始まる前から最終日の日曜日でのドナルドとのラウンドを熱望していた。それは昨年のリベンジを果たしたいという理由だけでなく、「先週の日本で圧倒的な強さで優勝したし、倒すにはとてもタフな相手だからね」と真の実力NO.1を見せつけたいというやんちゃなマキロイの挑戦状に思えた。
世界ランクで1位と2位を争う二人だがそのプレースタイルは正反対といってもいいだろう。マキロイの完成度の高いスイングとロングディスタンス、アグレッシブに攻めて観客を驚かせるスタイル。ドナルドのゆるぎないパッティング技術と矢を的に射るかのような正確でシャープなアイアンショット。この二人の異なるスタイルで同等の結果を出すことができるゴルフというゲームをあらためて奥が深いと感じる。
アマチュアゴルファーは多くの場合に飛距離が足りないことをスコアメイクができない言い訳にするが、状況を冷静に、そして素早く判断し、時には失敗を認め、自分と向き合い、そして結果を導くという目的を果たすには様々なルートがあることを、対照的なプレーから読み取ることができるのだ。だからゴルフはおもしろい。(アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ/向井康子)