2017年 JAL選手権

日本初開催の米シニアツアー JALにとっての成果と課題

2017/09/12 07:40
日本航空の大西賢会長(前列右から2人目)の笑顔もはじけた

日本で初めてとなる米国シニアツアーが9月8日から3日間、千葉県の成田GCで開催された。新規大会の「JAL選手権」。冠スポンサーとなったのは、日本航空だ。

メジャー8勝の“新帝王”トム・ワトソン、ド派手なファッションで大人気の“悪童”ジョン・デーリーらが参戦。欧州の強豪として名をはせたコリン・モンゴメリー(スコットランド)が勝利を収めた。

選手やツアー関係者の約160人は、前週の「ショーチャリティクラシック」が開催されたカナダ・カルガリーから、鶴丸印のチャーター機で日本時間4日(月)深夜に成田国際空港に到着。成田山新勝寺で御護摩祈祷を体験し、家族とともにスシも味わった。ワトソンやデーリーらは安倍晋三首相を官邸に表敬訪問した。

ワトソンは「どの選手も日本で最高のおもてなしを受けた。ホテルも快適だし、すべての物事がスムーズに進んだ。ゴルフは日本の文化だね」と笑顔。ラウンド後は、1時間以上かけてギャラリーへのサインに応じた。2003年まで12年間、日本でプレーしていたトッド・ハミルトンも「日本のおもてなしには感謝。コースも、とにかくすばらしかった」と絶賛した。ギャラリーは大会3日間で計5135人、1日平均1712人を集めた。

日本航空がプロゴルフの冠スポンサーを務めるのは、1990年代に開催した米女子ツアー「JALビッグアップルクラシック」以来。世界の航空関係企業では、ボーイングが米シニアの冠大会を実施。欧州ではトルコ航空、KLMの名を冠した大会があるほか、エミレーツ航空が年間を通じてパートナーを務める。最大のライバル企業・全日本空輸は米女子メジャー「ANAインスピレーション」や国内男子「ANAオープン」を営む。

ホールアウト後に観客とタッチをかわすトム・ワトソン

久々となったゴルフイベントに、日本航空では昨年夏に開催が決定されて以降、100人以上の社員が準備に追われた。担当者は「文化交流のひとつでJALにとっても一大イベントだった」と振り返る。多くのギャラリーが世界のレジェンドたちの技を楽しんだ大会を評価する一方、課題として「事前のプロモーションが、しっかりできなかった」と指摘。ちなみに前週、同じ千葉県で開催された国内女子「ゴルフ5レディス」は3日間で計1万103人、1日平均3368人の観客を記録した。

取材する側として残念だったのは、日本ツアー勢の不調だ。日本プロゴルフ協会(PGA)会長の倉本昌弘は通算10アンダーの7位と面目を保ったものの、金鍾徳(34位)、崎山武志(51位)、室田淳(53位)、中嶋常幸(55位)、井戸木鴻樹(58位)、尾崎直道(59位)と多くの招待選手が下位に終わった。

盛り上がりのためには地元観客の“熱”は不可欠。現時点で来年の開催は未定だが、日本ツアー勢の活躍が定期開催へのカギになるのかもしれない。(編集部/玉木充)

■ 玉木充(たまきみつる) プロフィール

1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。

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