有村智恵、家族と先輩とウマに支えられ
今季は上原彩子、有村智恵、原江里菜、若林舞衣子ら将来を嘱望される若手プレーヤーが次々と初勝利を挙げ、ツアーを大いに盛り上げている。その中で、有村は夏場を境に大スランプに陥り、一時期の勢いは完全に失われていた。
先週までも3試合連続で予選落ち。「CAT Ladies」(8月22日~)からトップ10入りもゼロ。長いトンネルを抜け出せないでいた有村が、今週の「樋口久子IDC大塚家具レディス」2日目を終えて単独首位に浮上し、久々に共同会見場に姿を表した。
7月下旬の「カゴメフィランソロピー」で、熱中症により棄権して以降、「体重が5キロ減って、飛距離が30ヤード近く落ちていました。ショットへの自信がなくなった影響で、パットにも自信がなくなっていました」と振り返る。まずは体調回復からと、「NEC軽井沢72」(8月15日~)ではホテルではなく別荘を借り、家族と共に宿泊。「無理してでも食べるように」と、母親が手料理を振舞った。家から持ち込んだ馬刺しに火を通す、いわゆる“馬焼肉”。「焼くと脂身が無くなって、量を食べられた」と、久々に食が進んだという。
また、一時期はイップスに陥っていたというパットは、上田桃子からのアドバイスが活きた。右肩が出ている、手だけで打っている、などの助言から導き出した答えが“クロスハンドグリップ”だ。今週から試み、パットの不振から見事に脱出した。さらに、来週開催の「ミズノクラシック」では、東北高校の先輩である宮里藍に教えを請うため、練習ラウンドを共にする約束も取り付けた。「明日頑張って、(宮里に)良い報告ができるようにしたいですね」。家族や先輩を始め、支えてくれた多くの人たちに、最高の恩返しを果たせるか。(編集部:塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。