2011年 BMW PGA選手権

「BMW PGA選手権」最終日/ウェントワースクラブ現地レポ

2011/05/30 11:19
18番でのプレーオフを制したルーク・ドナルド

今大会で一番易しいピンポジションだったのではなかろうか?18番は539ヤードパー5、右ドックレックのホールだ。左サイド270ヤードに2つのバンカーと右280ヤードに1つのバンカー、そして320ヤード付近には小さなクリークが流れている。

そしてさらにグリーン右手前から左奥にかけてクリークが流れるホールだ。ほとんどの選手のこのホールの戦略はティショットでスプーンやクリークを使い左バンカー手前に刻み、第3打でグリーンを狙ってくる。飛ばし屋の選手は2オンを狙ってくるがグリーン左のクリークにつかまるか、うまく2オンをしても左奥までボールが転がるかがほとんどだ。大会初日から右手前、左手前、右奥と難しいピンポジションだった。

グリーン全体の傾斜は右から左へと池に向かって傾斜している。勇気とウェッジショットでのスピンコーントロールが出来なければ初日から3日目まではバーディを奪う事さえ難しかった。最終日のピンポジションは左奥に切ってあった。大会関係者の粋なはからいだったのではないだろうか。グリーンセンターを狙うとボールは左傾斜でピンに近づくことになり、最終ホールでのゲームをエキサイティングなものにしてくれる。

そして、今日の優勝者L.ドナルドもその一人だ。プレーオフ前の18番は左バンカーから2打目を右ラフへそこから3打目をグリーンセンターへ狙って打ったが、ラフでランの計算が出来なかったのかピン奥まで突っ込むことが出来なかった。

プレーオフ1ホール目、トラブルで勝利を逃したリー・ウェストウッド

そして迎えたプレーオフでは、ティショットを左バンカー手前のセンターへしっかりと刻み、そこから第2打を右手前110ヤード付近のフェアウェイへ、そして第3打をグリーンセンター奥からバックスピンで右傾斜を利用し、ピン下2.5mへナイスオン、バーディチャンスにつけた。一方のL.ウェストウッドはティショットを右に曲げ大トラブルと思わせたが、運よくギャラリーのバッグへあたり林まではいかなかった。

そこから第2打を右手前100ヤード付近のフェアウェイへ。先に打ったL.ドナルドがバーディチャンスなのはわかっていた。今日のリーは攻めのゴルフを崩さなかった。グリーンセンターへ無難に打ってくるのではなくピン筋を狙って打ってきた球は、ピン奥へとバウンドし、そこから強烈なバックスピンと共に左サイドの池へとこぼれてしまった。

ルークの一人娘もグリーンサイドで応援していた

勝負をあきらめなかった世界ランク1位のウェストウッドは、望みをつなぐ第5打を左ドロップゾーンから果敢にピンを狙ったが、左イッパイに切られたピンを狙うには厳しい状況だし、ラフからスピンのきいたボールを打つのは難しかった。ボールは無情にもピンを超えて3m半のところで止まった。少し下りながら右に切れるラインを外してしまいダブルボギー。ルークはバーディパットしっかりと沈めて勝負は終わった。

そして、その勝敗を18番のグリーンサイドで見守っていたのがルークの一人娘だった。彼女は幼いながら母親の「ファイトダディー」と言う掛け声に、手を挙げて応援していた。女神の応援がもたらした勝利だと言う事は紛れもない事実だ。

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