2021年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ

欧州ツアー3年目が終了 川村昌弘は“新生”DPワールドツアーへ

2021/11/22 10:55
72ホール目はティショットをクリークに入れたが、しぶとくパーでしのいだ

◇欧州男子◇DPワールド ツアー選手権 ドバイ 最終日(21日)◇ジュメイラゴルフエステーツ・アースC(UAE)◇7675yd(パー72)

グリーン奥から流れるクリークが、フェアウェイ中央を蛇行する最終18番(パー5)。川村昌弘は1Wのティショットをそのクリークに入れてしまう。それでも、ドロップ後の3打目をグリーン右のガードバンカーまで運び、最後は2mを沈めてパーセーブ。通算イーブンパー48位の今季最終ラウンドを「今年を象徴するようなパー」で締めくくった。

「今年はピンチの時になんとかパーを獲るっていうのが、すごく多かった印象」というフル参戦3年目。レース・トゥ・ドバイランキングは19年56位、20年38位、そして今年は50位と、110位前後のシード権は余裕で確保しながらも、中団グループが続いている。

「毎年同じような結果ですけど、毎年内容は違います。最初に来た時よりも今の方が、いろんなことができるようになっているし、平均スコアが一番ですかね。シーズンを通して1打変わるっていうのは結構すごいことなので」と、昨年から約1打改善(70.96→69.80)した平均ストロークに手応えを見出している。

これまでは乗せるだけの2パットで簡単にボギーにしていたシチュエーションも、今は2mに寄せるがパターが入らずボギーとなる。スコアに違いは現れなくても、その差は自分が一番分かっている。「基本的には結果がすべての厳しい世界。自分だけでもそういうところを見てあげないといけないかな」

今季最終戦を戦い終えた川村昌弘と坂井恵キャディ

コロナ禍となった昨年以降、川村のツアー生活も変わっていった。厳しい外出制限もあり、これまでは訪れた土地で積極的に外に出て、食事や観光を楽しむことが多かったが、ホテルに滞在する時間が増えていった。「部屋でただぼーっとするのは、生きていることをサボっているんじゃないかっていう勝手な思いがあったけど、最近はホテルでゆっくりすることを覚えました(笑)。時間ができたことで、どういう練習をしたらいいかな?とか、すごく考えるようになりましたね」と、落ち着いてゴルフに向き合う時間も増えていった。

「自分の体力とスケジュールを考えたとき、練習を1時間する前にまず考えて、多分これをちょっと改善すれば良くなるだろうっていうところまで答えが出てから練習に行くスタイルになったので、調子のムラが減りました」という。練習効率がアップして、身体への負担も減ったのは、コロナ禍の幸いだった。

次週からはすぐに新シーズンが始まる

次週に始まる新シーズンから、欧州ツアーはDPワールドツアーへと名前を変え、世界27カ国で全47試合が開催され、1試合当たりの最低賞金総額200万ドル、年間賞金総額は2億ドル超という巨大ツアーへと進化する。日本開催も予定され、PGAツアーとの共催も3試合が組まれている。その舞台に川村は日本人唯一のシード選手として挑んでいく。

「日本ツアーでキャリアをスタートして、ヨーロッパを目指してアジアに行って、アジアとヨーロッパの共催を経験した。ヨーロッパに来たら、今度はヨーロッパとアメリカが共催を初めた。自分からしたら願ったり叶ったりです」と笑う。「飽き性なので、こっちで3年やって、だんだんアメリカでやっても楽しいだろうなって思うようになっているので」と、その夢は新世界にも広がっている。

遠征先でもレンタカーを借りて、自分でハンドルを握るのが川村のスタイルだ。次週からは南アフリカ3連戦。好きな道を自身の決断で駆け抜ける喜びは、ゴルフ人生においても変わらない。(アラブ首長国連邦ドバイ/今岡涼太)

2021年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ