「全米プロゴルフ選手権」で知っておくべき5つのこと
今週は世界最高の選手たちがサザンヒルズCCに集結し、今年の男子メジャー第2戦である「全米プロゴルフ選手権」が開催される。同大会で知っておくべき5つの重要事項は次の通り。
ラームはシェフラーから世界一奪還を目指す
今週の大会で、スコッティ・シェフラーの君臨する公式世界ゴルフランキングのナンバーワンに挑めるのは、ジョン・ラームただひとり。優勝して、シェフラーが5位タイ以下に終わると、その座を取り戻すことになる。奪還となれば3月以来。
ラームは今月開催された「メキシコオープン」で完全優勝、昨年トーリーパインズで開催された「全米オープン」での優勝以来となる米PGAツアー7勝目を挙げた。一方のシェフラーは今年すでに4勝、「マスターズ」でメジャー初制覇を果たしてからは唯一の出場となった先週の「AT&Tバイロン・ネルソン」で15位タイに入り、「全米プロ」への肩慣らしは万全の状態にある。
メジャーの歴史に深く根を下ろしたコース
「全米プロ」が15年ぶりにサザンヒルズに戻ってきた。前回同コースで開催された2007年大会では、ディフェンディングチャンピオンだったタイガー・ウッズが通算8アンダーでフィニッシュし、2位に入ったウッディ・オースティンに2打差をつけて連覇に成功。自身4度目にして最後の「全米プロ」制覇となっている。
同大会では、イングランドのグレーム・ストームが第1ラウンドを終えて首位に立ったほか、同じくイングランドのサイモン・ダイソンが最終日に6アンダーの「64」をマークし、欧州勢では最高順位となる6位タイに入った。
サザンヒルズは「全米プロ」にとって馴染み深い場所で、これまで同大会を4回開催している。これは他のどのコースよりも多い回数であり、同コースは今週の開催でその記録を伸ばすことになる。サザンヒルズでは、これまで男子メジャーが通算7回開催されており、これには3回の「全米オープン」開催が含まれる。ウッズはひざのけがにより2008年大会を欠場。今週はフィル・ミケルソンが出場せず、「全米プロ」で前回王者が不在となるのは、同年以来となった。
「全米プロ」デビューに備える欧州ツアーメンバー
今年のメジャー第2戦には156人が出場。「全米プロゴルフ選手権」デビューを果たすことになる7人の欧州ツアーメンバーが含まれる。うちアドリ・アーナス、オリバー・ベッカー、リチャード・ブランド、ローリー・キャンター、ニコライ・ホイゴー、そしてミンウ・リーの6人はPGAオブ・アメリカの招待選手であり、いずれも大会初出場となる。
アーナスは母国の地でDPワールドツアー初優勝を遂げた5月初旬の「カタルーニャ選手権」以来の大会出場となり、一方、南アフリカのベッカーは、先週の「ソウダルオープン」で今季8度目のトップ10入りを果たし、公式世界ゴルフランキングをキャリアハイの84位として今週の大会を迎える。
リチャード・ブランドとローリー・キャンターのイングランド人コンビも、「全米プロゴルフ選手権」初出場を果たすこととなり、特に後者はこれまで2017年の「全英オープン」が唯一のメジャー出場となっており、米国開催のメジャー自体、初出場となる。
リーは現在、公式世界ゴルフランキングで54位にランクインしているが、先月、最終日のオーガスタナショナルで前半「30」をマークするなど、初出場の「マスターズ」で14位タイに入る健闘ぶりを見せており、今回はそれを上回るパフォーマンスを期している。
昨年の「全米プロゴルフ選手権」では双子の兄弟ラスムスが出場を果たしたが、今回は2月の「ラスアルカイマ選手権」でDPワールドツアー2勝目を挙げたニコライの番となる。
一方、昨年7月に米PGAツアーの「バーバソル選手権」を制覇したアイルランドのシーマス・パワーは、その勝利により「全米プロゴルフ選手権」の出場権を手にしている。
スピースの生涯グランドスラムへの挑戦
ジョーダン・スピースは、今週の「全米プロゴルフ選手権」での勝利による生涯グランドスラム達成に挑戦する。2017年に「全英オープン」で3つ目のメジャー制覇を成し遂げて以降、スピースはグランドスラム達成に5回挑戦しており、その間の最高位はブルックス・ケプカが優勝した2019年のベスページでの3位タイとなっている。
「マスターズ」でキャリア初の予選落ちを喫した翌週、スピースは見事バウンスバックを果たし、プレーオフの末にパトリック・カントレーを下して「RBCヘリテージ」を制した。ヒルトンヘッドで、パッティングのスタッツを60位としながらも優勝を果たした。
スピースは先週の「AT&Tバイロン・ネルソン」でも単独2位。ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス、そしてタイガー・ウッズという、ゴルフで最も仲間入りの難しいクラブの入会へ向け、ますます自信を深めている。
PGAハットトリックを狙うマキロイ
ロリー・マキロイはオーガスタでの最終ラウンドで「64」をマークし、「マスターズ」で単独2位に入った後、自身を「ゴルフコース上では、これまでで最もハッピーでいる」と表現した。生涯グランドスラム達成こそ逃したものの、新たに自信を取り戻しており、それは今月開催されたPGAツアー「ウェルズファーゴ選手権」での5位という成績からも明らかだ。
マキロイは2012年にキアワアイランドで「全米プロゴルフ選手権」初優勝を遂げ、2つ目のメジャータイトルを獲得したが、この際、新記録となる8打差の勝利を挙げた。その2年後に「全英オープン」を制し、「WGCブリヂストン招待」でWGC初優勝を遂げるなど、絶好調の真っ只中にいたマキロイはその夏、夕闇迫るバルハラで、メジャー4勝目となる「全米プロ」制覇を果たし、2つ目のワナメーカートロフィーを獲得した。