「BMWインターナショナルオープン」の大会アラカルト
今年の「BMWインターナショナルオープン」には、マルティン・カイマーとヘンリック・ステンソンに加え、「マスターズ」でメジャー初制覇を遂げたセルヒオ・ガルシアが、マスターズ制覇以降では初めて欧州の大会で競い合うことになる。以下、この大会の内幕である。
■ 2016年大会を振り返る
グートレーヘンホフGCで開催された昨年の大会は、36ホールの長丁場となった最終日を経て、スウェーデンのヘンリック・ステンソンが3打差で優勝し、ヨーロピアンツアー10勝目を挙げた。
午前中の第3ラウンドを「67」でラウンドし、1打差の首位で午後の最終ラウンドを迎えたステンソンは、この日2つ目のラウンドでプレーの質の高さと勝利への意志を見せつけた。
出だし5ホールで3つスコアを落とし、リードを失ったステンソンは、そこから見事なカムバックを遂げ、終盤に3つのバーディを奪って勝利した。
この勝利は彼にとって、2014年の「DPワールドツアー選手権」以来のヨーロピアンツアー制覇であり、同大会では初めてトロフィーを掲げた2006年以来の2勝目となった。
また、この勝利は彼にとって、3週間後にキャリア最大の勝利をもたらすきっかけにもなった。ロイヤルトゥルーンでの最終日に、フィル・ミケルソンと一大バトルを繰り広げたステンソンは、「全英オープン」を制してクラレットジャグを掲げたのである。
■ フィールド
クラレットジャグを獲得して以来、初めてドイツの地を踏むステンソンは、メジャー王者6人を含むスターぞろいのフィールドを相手に、タイトル防衛に臨むことになる。
フィールドには、ステンソン以外にもパブロ・ララサバル(2011年と2015年)、ファブリシオ・サノッティ(2014年)、アーニー・エルス(2013年)、マルティン・カイマーといった過去の大会王者も名を連ねており、今大会には「マスターズ」王者のガルシアも出場する。
2017年は怒濤のスタートを切ったイングランドのトミー・フリートウッドは、絶好調のまま今大会を迎える。現在「レース・トゥ・ドバイ」で2位につける26歳のフリートウッドは、シーズン序盤の「アブダビHSBC選手権」を制したほか、「WGCメキシコ選手権」と「深センインターナショナル」で2位に入った。彼は難所のエリンヒルズで開催された「全米オープン」で4位に入っており、勢いそのままにドイツへと乗り込む。
セバスティアン・ハイゼレ、フロリアン・フリッシュ、マキシミリアン・キーファー、アレクサンダー・クナッペ、ベルント・リットハーマー、マルセル・シームらは地元ドイツでの母国優勝を狙っており、かつての「ライダーカップ」キャプテンであるホセ・マリア・オラサバル、ヨーロピアンツアー4勝のベルント・ヴィースベルガー、そしてスペインのスター、ラファ・カブレラベローらもドイツのギャラリーを沸かせることになる。
■ コース
1989年に設立されたミュンヘンアイヒリードGCは、同年に第1回「BMWインターナショナルオープン」の開催地として世界のスター選手をそのフェアウェイに連れて来たことから、この大会の“ホーム”と考えられている。
クルト・ロスクネヒト設計の27ホールのレイアウトは、広さ350エーカーに及び、ドイツ南東のバイエルン州特有の青々とした森林地帯に広がっている。
フェアウェイは全般的に広く、概ね平坦だが、簡単に回れるコースではない。全長7235ヤードのコースには、バンカー、木々、そしてウォーターハザードが戦略的に配置されており、通常はロングヒッターに味方する。
また、同コースには240メートルの照明完備の練習レンジと室内トレーニング場を含む最先端の練習施設が併設されている。
■ トリビア
・これまでの28大会では、24人の選手が優勝を果たしている。
・「BMWインターナショナルオープン」は1989年に始まった。BMWが29年連続で冠スポンサーを務める同大会は、現行のヨーロピアンツアーでは、同一企業が最も長く継続的にスポンサーをする大会である。
・2014年に「BMWインターナショナルオープン」を制したファブリシオ・サノッティは、ヨーロピアンツアーを制した初のパラグアイ人選手となった。これにより、パラグアイはヨーロピアンツアーに優勝者を輩出した36カ国目の国となった。
・1992年の「BMWインターナショナルオープン」ではヨーロピアンツアー史上初となる5人によるプレーオフが行われた。このときは、かつての「ライダーカップ」米国代表キャプテンであるポール・エイジンガーが、グレン・デイ、アンダース・フォースブランド、マーク・ジェームス、そしてベルンハルト・ランガーを抑えて優勝した。
・この大会がミュンヘンアイヒリードGCで開催されるのは、23回目であり、大会が始まった1989年以降、このコース以外で大会が開催されたのは6回のみである。
・ミュンヘンアイヒリードGCで開催された直近の「BMWインターナショナルオープン」は、2回続けて1打差の勝負となった。2015年大会ではパブロ・ララサバルがヘンリック・ステンソンを1打差で下しており、2013年にはアーニー・エルスが1打差でトーマス・ビヨーンに勝利した。
・2016年の大会王者であるヘンリック・ステンソンは、初めて2つの異なるコースで「BMWインターナショナルオープン」を制した選手となった。ステンソンは2006年にミュンヘンアイヒリードGCで優勝し、16年にはグートレーヘンホフGCで優勝を遂げた。