マクドウェルが手に汗握る激戦を制す
最終日に素晴らしいラウンドを展開したグレーム・マクドウェルが8打差を逆転し、自身初となるタイトル防衛に成功した。
劣悪な天候を物ともせず、風雨が見舞ったル・ゴルフ・ナショナルでの最終日をこの日のベストスコアタイとなる「67」でラウンドしたマクドウェルが「アルストム・フランスオープン」のタイトルを再び我が物とした。
とはいえ、元「全米オープン」王者のマクドウェルがタイトルを勝ち取る上で、米国のケビン・スタドラーが18番で1メートル足らずのパーパットを外す必要があった。もし、このパットが入っていれば両者によるプレーオフへと勝負はもつれ込むところであった。
18番でティショットを深いラフへ外したマクドウェルがこの日唯一のボギーを叩いた為、スタドラーは18番をパーとすれば勝負をプレーオフへ持ち越すことができたのだが、マクドウェルがプレーオフへ向けた準備の為に記録エリアを離れる中、スタドラーは僅か60センチほどのパットを決め損なったのである。
これにより、最終日を「76」としたスタドラーはタイのトンチャイ・ジェイディーと並ぶ2位タイで大会を終えることとなった。ジェイディーは最初の4ホールで5つスコアを落としながらも、その後のホールを4アンダーで回り、最終日を「72」でラウンドしている。
「びっくりしているよ」とヨーロピアンツアー10勝目を果たしたマクドウェル。「土曜のバックナインの出来に心底がっかりしていたから、昨晩2杯目の赤ワインを飲んでいる時は、プレーオフでプレーするチャンスを待つ身になるとも思っていなかったし、こうしてトロフィーを手にしているとも思っていなかった」。
「とてもついていたと思う。ケビン・スタドラーは本当に素晴らしい選手だからね。あの最終ホールのグリーンでは、僕は殆どOKしていたようなものだった。まさかミスするとは思っていなかったからね」。
「こういう形では勝ちたくないものなんだ。プレーオフへ向け準備もできていたのだけど、この勝利は貰って行くことにするよ。本当に必要な勝利だったからね。僕にとっては特別な勝利だ。これから忙しい夏が始まるけれど、その夏へ向け弾みのつくスタートになったよ」。
マクドウェルはシーズン後半に備えるべく、これまでのところ、例年と比べて計画的に軽めのスケジュールを組んできた。
「今となっては良い決断だったと言えるけれど、実のところ、僕自身、そして僕のチームも自問し始めていたところだったんだ」とかつての「全米オープン」王者は加えた。
「2つのメジャー、フェデックスカップのプレーオフ、そしてできれば『ライダーカップ』もだけれど、それらの大会が残っているシーズンのこの時点で、ここまで身体の調子が良かったことはこれまでなかったことだ」。
「初めてのタイトル防衛を誇りに思っているし、今後のこと、特に『ライダーカップ』を見据えると、これは必要な起爆剤だったんだ(この勝利により彼は欧州代表ポイントリストで10位につけている)」。
「全英オープン」が最後にホイレークで行われた2006年大会で、初日に首位に躍り出た経験を持つマクドウェルは、「2週間前にホイレークへ行ったんだ」と語った。
「僕に合ったコース設定になっていると思う。ティからはフェアウェイを捉えないといけないし、大きくて平らなグリーンが多いからパットを決めることもできる。この勝利は良い起爆剤になったし、次の日曜には準備万端でホイレークへ帰って来るよ」。
スタドラーは、同組のジェイディーがスタートで大幅に躓き、地元のビクトル・リウが1番でバーディを奪いながらもティショットを池に落とした続く2番をダブルボギーとした為、一時は2位と5打差の首位に立っていた。
しかし、34歳のスタドラーは4番で50センチのパーパットを外し、6番では1.2メートルのパーパットを外すと、次のホールでは6打のダブルボギーを叩いた。ここでは、コース上にいたテレビコメンテーターが彼のボールを踏んだ為、深いラフの中からボールが見つかったのである。
罰則なしのドロップが認められたスタドラーは、そこからは数メートル横にボールを出すに留まったものの、最終的にはグリーン手前から上々の寄せを見せ、このホールを6打で切り抜けたのである。
8番ではグリーン左からの粗末なチップショットによりこのホールもボギーとすると、バックナイン序盤でも2つのボギーを叩き、マクドウェルが13番、14番、そして16番でスコアを伸ばす中、スタドラーのチャンスは潰えたかに見えた。
「大会を同じミスをすることは、なかなかないけれど、今日はそうなってしまった」とスタドラー。「ただ、全体的には良い1週間だった」。
「序盤であれだけアンダーパーにして(彼は35ホール終了時点では12アンダーまでスコアを伸ばしていた)、そのまま大会を終われなかったのは少し奇怪なことだけれど、大会前に2位という結果を提示されていたら、瞬時に承諾していただろうね」。
「序盤のスパートは良かったけれど、今日の雨には苦しんだ」。
2月にフェニックスで米PGAツアー初勝利を飾ったスタドラーはこう付け加えた。「コンディションはとてもタフで、今日はドライバーが酷かった。ここではフェアウェイを外すと酷い目に遭うんだ。ただ、そういうものなんだよ」。
「初めの2日間は素晴らしいプレーで多くのチャンスを作り出したが、今日は膝まである草の中で1日を過ごした。それはスコアにも現れている」。
「今日のフロントナインは本当に惨めな物で、実際的にどのホールもボギーで御の字という感じだった。実際はそれも無理だったわけだけれど、とにかく粘って、終盤は幾つかバーディを奪ってチャンスを掴むこともできた」。
「最後は残念だった。2打目は安全に行って、パットは良い感じだったけれど、残念ながら僅かのところで外してしまった」。