連日の霧にもめげず マデイラで高みに立ったヘンリー
霧のためサスペンデッドとなった「マデイラアイランドオープン」の第1ラウンドを「67」の5アンダーでホールアウトしたスコットランドのスコット・ヘンリーが、ヨーロピアンツアー初優勝へ向け暫定首位へと躍り出た。
ポルトガル有数の景観の美しさで知られるマデイラ島の海抜700メートルにあるサント・デ・セラGCを舞台に開催されているヨーロピアンツアー1,500回目の大会序盤は、予測不能の天候と濃霧のため大きな混乱を来している。
一度としてボールが打たれることなくプレーが中止となった大会初日を経て、金曜の朝7時45分にようやくプレーが開始されたものの、直ぐに霧が立込め、午前9時にはプレー中断を余儀なくされた。午後12時45分にようやく第1ラウンドが再開されると、ヘンリーは出だしの5ホールで4つのバーディを奪い、集団を抜け出し単独首位で大会を引っ張る形になった。
10番スタートだったヘンリーは17番でボギーを叩いて勢いを削いでしまうも、18番で直ぐ様バーディを奪って勢いを取り戻し、後半にも2番、3番、そして7番と3つのバーディを加えることに成功した。27歳は7アンダーまでスコアを伸ばしたのだが、8番と9番で連続してボギーを叩いてしまったため、イングランドのアンドリュー・マーシャル、スペインのペドロ・オリオル、そしてヨーロピアンツアーで優勝経験のあるマーティン・ウィーゲレに2打差の暫定首位で第1ラウンドを終えることとなった。
「直ぐにエンジンがかかったのが良かったね」とヘンリー。彼は2012年の「カザフスタンオープン」で優勝を飾った後にチャレンジツアーからの昇格を果たしている。「最近出場した大会では出だしが良くなかったので、今日は上々のスタートが切れて良かった」。「今日はタフな1日で、ラウンド前に5アンダーを提示されていたらそれを受け入れていただろうね。奇妙なことに、とてもタフだったのでまさか7アンダーに到達するとは思ってもいなかったんだ。終盤は厳しいホールが2つあって、そこで2つボギーを叩いてしまったのはちょっと苛立たしかったけれどね」。
「それでも十分に満足している。良いプレーができ、明日に向け十分な位置につけている。もう36ホール回れればいいね。それが一番の難関だね」。「優勝を狙える位置につけられたのが嬉しい。また良いプレーができている感じがするので、明日は何が起こるか分からないけれど、楽しみにしている。勝てたら素晴らしいけれど、道はまだ半ばだよ」。
木曜は丸一日クラブハウスで待機し、金曜もクラブハウスで数時間待機しなければならなかったことに対し、グラスゴー出身のヘンリーはティオフに際し精神的に準備を整えるのが難しかったことを明かした。それでも彼は地元の味に慰安を覚えたようだ。「確かに昨日はタフだった」とヘンリー。「朝7時から10時間クラブハウスにいたのだから、随分と長かったね。コーヒーを何杯も飲んで、マデイラケーキを沢山食べた。今日はケーキのおかげじゃないかな」。
一方、午前の最終組で回ったウィーゲレは、3アンダーの「69」というスコアに満足している。彼は午後8時に霧のためプレーがサスペンデッドとなった直前にラウンドを終えた。「とても厳しいコンディションだったので、今日のラウンドにはとても満足している」と、オーストリア出身のウィーゲレ。彼はヨーロピアンツアー唯一の勝利を「サントメールオープン」で挙げている。「実際、風の中ではこれまでで最良のラウンドの一つだった」。
「冬の間の練習とフィットネスの取り組みが上手く行った結果だと思いたいし、この好調をこれからも持続させるようトライするつもりだ」。「多分、数週間前のチャレンジツアーのルミネの時と同じくらい風が強かったと思う。あの時はグリーンでボールが動いてしまったのでプレーを中断しなければならなかったけれど、ここはグリーンが遅いし、そこまで風に晒されていなかった」。「昨年は悪い1年だったけれど、2年ほど前に腰の手術を受け、8ヶ月にわたってプレーすることができなかった。長期間プレーを止めていると元の調子を取り戻すのに中断していた期間の3倍は時間がかかると言われてきた。だから2011年と同じような感じでプレーできればその時点で御の字だ」。
サント・デ・セラでは地元を沸かせるストーリーが展開した。午後の組でスタートしたポルトガルのアマチュア選手、ジョアン・カルロタが好調な出だしを見せたのである。カルロタはオープニングホールでバーディを奪うと、パー5の3番ではイーグルを奪い、続く4番でもバーディを奪って、4ホールで4アンダーとし、首位に1打差まで迫った所で、視界不良のためプレー中断が告げられた。