「ヒーローカップ」について知っておくべき5つのこと
DPワールドツアー2023年最初の大会となる第1回「ヒーローカップ」では、アブダビにて欧州大陸と英国およびアイルランドの選手たちが、3日間にわたりチーム戦を繰り広げることとなる。同大会について知っておくべき5つのことは次の通り。
中東スイングの幕開けを飾る新規大会
DPワールドツアーで初お目見えとなる「ヒーローカップ」は、マッチプレー方式で行われる新規のチーム戦である。いずれもDPワールドツアーで複数回優勝しているフランチェスコ・モリナリ(イタリア)とトミー・フリートウッド(イングランド)は、それぞれプレーイングキャプテンとして欧州大陸選抜と英国およびアイルランド選抜を率いることとなる。フリートウッドは、2023年「ライダーカップ」のキャプテンとしてこの大会を注視するルーク・ドナルドと綿密に協力してチームの選抜を行なった。選手選抜のプロセスにおいては、シーズンを通した「レース・トゥ・ドバイ」ランキングでのパフォーマンスが鍵となった。
「ヒーローカップ」はアブダビ2連戦の初戦であり、アラブ首長国連邦にて4週連続で開催される中東スイングの初戦でもある。今週のチーム戦を終えると、今後は、「アブダビHSBC選手権」、そして「ヒーロードバイデザートクラシック」と、2週連続して「ロレックスシリーズ」の大会が開催される。その後、2月最初の大会として、中東4連戦の“トリ”を飾る「ラスアルカイマ選手権」が開催される。
競技方式
「ヒーローカップ」は1月13日から15日の3日間で開催される。大会では、10人編成の2チームが直接対決を繰り広げ、金曜の午前11時5分から始まるフォアボール1セッション、土曜の朝7時35分から始まるフォアサム2セッション、そして日曜のシングルス1セッションで対戦して勝敗を決める。
出場する20選手は、全員各セッションでプレーすることになる。各マッチの勝者には1ポイントが与えられ、マッチが引き分けの場合は、各チームに0.5ポイントが与えられる。つまりこのチーム戦は、合計25ポイントをかけた戦いとなる。
開催コース
アブダビGCはDPワールドツアーにとってお馴染みのコースであり、ここでは2006年から16年連続で「アブダビHSBC選手権」が開催されている。一際目立つクラブハウスは、翼を広げた隼を象った設計となっている。全長7642yd、パー72のナショナルコースにはパー5が4ホールあり、最も短い562ヤードの18番は池が絡むため、最終ホールまでもつれたマッチでは確実に劇的なフィニッシュを提供することになるだろう。
英国およびアイランド選抜では、3人の選手がこのナショナルコースに良い思い出を持っている。フリートウッドは、同コースにて2017年から2018年にかけて「アブダビHSBC選手権」を連覇しており、シェーン・ローリー(アイルランド)は同大会が「ロレックスシリーズ」に昇格した2019年に優勝を果たしている。ティレル・ハットン(イングランド)は同コースにおける最後の王者であり、彼は圧倒的なパフォーマンスで2021年に「ロレックスシリーズ」4勝目を挙げた。
スターぞろいの両チーム
今回プレーする10人編成の2チームには、メジャー王者が2人、「ロレックスシリーズ」王者が4人、そしてDPワールドツアーでの優勝経験者が17人いる。2018年「全英オープン」王者のモリナリが率いる欧州大陸選抜には、折り紙付きの実力を持った勝者であるアレックス・ノレン(スウェーデン)、そして来週の「アブダビHSBC選手権」でタイトル防衛に臨むトーマス・ピータース(ベルギー)が名を連ねている。
更には、既に米PGAツアーで優勝を果たしているセップ・ストライカ(オーストリア)、そして昨年9月の「カズーオープン」で3年ぶりのDPワールドツアー制覇を果たしたギド・ミリオッツィも参加。また、欧州大陸選抜にはポーランド人初のDPワールドツアー王者となったアドリアン・メロンク、そして同じくツアー2勝のビクトル・ペレス(フランス)と、けがで欠場となった双子の兄弟のラスムスに代わって出場するニコライ・ホイゴー(デンマーク)も加わった。米PGAツアーのルーキーシーズンで好発進を遂げたベルギー人選手のトーマス・デトリー、そして12月の「アフラシアバンクモーリシャスオープン」でツアー3勝目を挙げて今回最後の枠を手にしたアントワーヌ・ロズナーも欧州大陸選抜でプレーする。
英国およびアイルランド選抜のプレーイングキャプテンであるフリートウッドは、11月の「ネッドバンクゴルフチャレンジ」でDPワールドツアー6勝目を挙げており、同じく「ライダーカップ」のスター選手であるローリー、そしてハットンとともに強力なチームを形成。同チームでは、米PGAツアーのフェデックスカップランキングで首位に立つアイルランドのシーマス・パワー、そしていずれもDPワールドツアーで優勝経験のあるイワン・ファーガソン、ロバート・マッキンタイア(ともにスコットランド)、カラム・シンクィン、ジョーダン・スミス、そしてマット・ウォレス(ともにイングランド)が、前述の3人とともにプレーすることになる。このラインアップを締めくくるのは、2022年にトップ10入り6度を果たす大躍進を遂げたリチャード・マンセル(イングランド)である。
G4Dツアーが活動再開
今週は金曜と土曜に開催される「G4Dツアー@ヒーローカップ」にて、拡張された2シーズン目のG4Dツアー(障がい者ゴルフツアー)が活動を再開する。今週ヘッドラインを飾るのは、障がい者ゴルファーとして初めてDPワールドツアーの大会に出場した世界2位のブレンダン・ロウラーである。今週は、障がい者ゴルファー世界ランキングのトップ10から、更に5人の選手が出場し、中でもトマッソ・ペリーノとマイク・ブラウンは、昨年のG4D初年度に遂げた勝利の再現を狙っている。
今年のシーズンは、開催大会が6カ国8大会に拡張されており、年間王者を決める年間ランキング制度も導入された。イングランド出身で世界ナンバーワンのキップ・ポパートは、初年度だった昨季に4勝を挙げており、昨年12月の今季開幕戦でも優勝を果たしている。