欧州男子ツアー

オー・ブラザー! 2022年の兄弟そろい踏み

2023/01/05 11:18
ニコライ・ホイゴー(右)とラスムス・ホイゴー(写真は2021年イタリアオープン)

DPワールドツアー(欧州ツアー)はその50年の歴史のなかで、父と子、伯父と甥、双子を含む兄弟のように、一家のメンバーが同じ大会でティアップする場面を見てきた。

2022年は2組の双子を含む計5組の兄弟が同じ大会に出場した。今回はツアーにおいて助け合いながらもしのぎを削る兄弟たちの姿にスポットライトを当ててみよう。

エドアルドとフランチェスコのモリナリ兄弟

フランチェスコ・モリナリ(写真は2019年アーノルド・パーマー招待byマスターカード)

これはツアーで最も名声を確立した兄弟であり、フランチェスコは2004年にQスクールから、エドアルドはその3年後にチャレンジツアーの年間ランクでトップ15に入ったことでトップツアー昇格を果たした。2010年には、2人揃って「ライダーカップ」に出場して欧州の勝利に貢献したほか、その1年前にはタッグを組み、イタリア代表としてワールドカップでプレーしている。

個人成績に目を向けると、フランチェスコは2018年に輝かしいシーズンを送っており、同年には「全英オープン」を制覇したほか、「BMW PGA選手権」で「ロレックスシリーズ」のタイトルを獲得し、欧州選抜が勝利した「ライダーカップ」ではチームに5ポイントをもたらし、ハリー・バードン・トロフィーも獲得した。

また、彼は世界ゴルフ選手権でも1勝をあげているほか、DPワールドツアーのレギュラー大会でも3勝を挙げており、兄エドアルドの方はと言うと、こちらも同じくツアー3勝をあげている。2022年、彼らは「ジェネシススコットランドオープン」「BMW PGA選手権」、そして「DSオートモービルズ イタリアオープン」に出場しており、フランチェスコはウェントワースクラブでトップ10入りを果たしている。

ニコライとラスムスのホイゴー兄弟

ラスムス・ホイゴー(写真は2022年ネッドバンクゴルフチャレンジ)

わずか21歳にして既に2人合わせてDPワールドツアーで5勝を挙げている一卵性双生児のホイゴー兄弟は、モリナリ兄弟の足跡を辿り、「ライダーカップ」に揃って出場したい望みを隠そうとしていない。この2人は、2018年に「アイゼンハワートロフィー」で勝利したデンマーク代表で成功を味わっており、その後、シームレスにプロ入りを果たした。

最初にインパクトを残したのは、「KLMオープン」で招待選手ながら2位に入ったニコライだったが、同年には、Qスクールからツアー昇格を果たしたラスムスが、欧州ツアー参戦わずか5大会目だった「アフラシアバンク モーリシャスオープン」を18歳271日で制覇し、ツアー史上3番目の年少優勝を遂げた。

ラスムスは2020年に「ISPSハンダUK選手権」でツアー2勝目を挙げると、2021年にはラスムスが「オメガヨーロピアンマスターズ」で3勝目を挙げ、その7日後にはニコライが「DSオートモービルズ イタリアオープン」を制覇し、兄弟で歴史を作った。ニコライが「ラスアルカイマー選手権」で2勝目を挙げた2022年に、兄弟は定期的に同じ大会に出場し、「アルフレッドダンヒルリンクス選手権」では同組でプレーしている。

マシューとアレックスのフィッツパトリック

マシュー・フィッツパトリック(写真は2022年全米オープン)

スコットランドではもう1組の兄弟が同組でプレーした。2022年に弟のアレックスがプロに転向したフィッツパトリック兄弟(イングランド)である。輝かしいアマチュアでのキャリアを経て8年早くプロに転向したマシューは、そのアマチュア時代、2012年に「ボーイズアマチュア選手権」を制覇すると、翌年には「全米アマチュア選手権」で優勝して世界アマチュアランキングでナンバーワンに上り詰め、「全英オープン」ではローアマとしてシルバーメダルに輝き、「ウォーカーカップ」には英国とアイルランドを代表して出場した。

彼は2014年にQスクールを経てツアー入りすると、7シーズンで7勝を挙げたのち、昨季の「全米オープン」でメジャー初制覇を遂げた。アレックスもまた、輝かしいアマチュア時代を送っており、彼は2019年と2021年に「ウォーカーカップ」出場を果たしたほか、世界アマチュアランキングで4位に到達した。彼は昨季の「ホライズン アイリッシュオープン」でプロデビューを果たすと、出場7大会中5大会で予選を通過し、「アンダルシアマスターズ」では兄マシューよりも上の順位でフィニッシュしている。

ヤニクとジェレミーのパウル兄弟

ヤニク・パウル(写真は2022年マヨルカゴルフ・オープン)

DPワールドツアーの同じ大会に史上初めてそろって出場した一卵性双生児はホイゴー兄弟ではなく、2016年「BMWインターナショナルオープン」に出場したパウル兄弟だった。彼らは2015年と2016年の「欧州アマチュアチーム選手権」でドイツ代表としてプレーすると、その後はコロラド大学へ進学するも、以後は異なるキャリアの道筋を歩むことになる。

ジェレミーは主に大西洋の向こう側に留まり、現在はコーンフェリーツアーでプレーしているのに対し、欧州へ帰ったヤニクはチャレンジツアーへと進み、2021年に昇格を果たした。ヤニクはDPワールドツアー初年度に、「マジョルカゴルフオープン」でツアー初優勝を果たすと、これ以外にも5度のトップ5入りを果たしたのだが、この中にはジェレミーが18位に入った「スペインオープン」でのものも含まれる。

リカルドとトマウのゴウベイア兄弟

リカルド・ゴウベイア(写真は2015年ダンロップフェニックス)

父のトマス・シニアは、ポルトガルのアルガルベに移住した後に、兄弟にゴルフの手ほどきをすると、以後、兄弟は何度か「ポルトガルマスターズ」に出場しており、これには2022年大会も含まれる。リカルドは2014年に欧州選抜として「パーマーカップ」に勝利したほか、「欧州アマチュアチーム選手権」にも、国を代表して4度出場している。

彼は2014年にプロへ転向すると、その1年後にチャレンジツアーで年間王者となり、当初はDPワールドツアーで確固たる地位を築くも、2021年にチャレンジツアーからの再昇格を余儀なくされた。トマスは2021年にチャレンジツアーで18大会に出場し、一方、リカルドは昨季DPワールドツアーのシード権を僅差で手放したため、2023年は一緒にプレーする機会が増えることになるだろう。