2021年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ

“マジック”モリカワがドバイでダブル制覇

2021/11/23 09:00
最終戦を制したコリン・モリカワは米国勢初の欧州年間王者のタイトルも獲得した(Mateo Villalba/Quality Sport Images/Getty Images)

コリン・モリカワが2021年「DPワールドツアー選手権」で「ロレックスシリーズ」初制覇を果たすとともに、米国人選手初の欧州ナンバーワンに輝いた。

ジュメイラGEでの最終日を首位と3打差で迎えた「全英オープン」王者は、「レース・トゥ・ドバイ」のタイトルへ向けては全てのライバルに余裕のあるリードを持ってこの日のラウンドをスタートした。

しかし、その状況もディフェンディングチャンピオンのマシュー・フィッツパトリック(イングランド)がチャージをかけ、リーダーボードを駆け上がり始めたことで一変し、アースコースはにわかに決戦の場と化した。

最初の11ホールを1アンダーでプレーしたモリカワは、そこからギアを上げ、ノーボギーの「66」をマークして通算17アンダーとし、同じく「66」をマークしたフィッツパトリック、そしてこの日「70」をマークしたアレクサンダー・ビョーク(スウェーデン)に2打差をつけて勝利を手にした。

ニコライ・ホイゴー(デンマーク)とロバート・マッキンタイア(スコットランド)が通算13アンダーで続き、その1打後方にはディーン・バーメスター(南アフリカ)、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、そしてイアン・ポールター(イングランド)が入った。

コリン・モリカワが最終戦優勝と年間王者の称号を手にした(Warren Little/Getty Images)

モリカワによるヨーロピアンツアー優勝は、わずか17回目の出場にして3度目のことであり、これで2021年の「レース・トゥ・ドバイ」でただ一人、3勝を挙げた選手となった。

「全英オープン」、「WGCワークデイ選手権」、そして今回、UAEで優勝したことで、世界2位のモリカワはフランチェスコ・モリナリ(イタリア)に次いでメジャー、WGC、そして「ロレックスシリーズ」の全タイトルを獲得した2人目の選手となったが、同一シーズンの達成は史上初の快挙となった。

「とても良い気分だね」とモリカワ。「今日、フィッツパトリックの猛チャージを見ていなかったと言ったら嘘になる。彼には脱帽だよ。序盤で多くのバーディを奪ったからね。でも、勝負は18ホールだから。僕は波に乗れさえすれば良かったんだ」

「これはかなり特別なこと。前回ここへ来たとき、ドバイは初めてで、もちろんヨーロピアンツアーにもそんなに出場した経験はなかったのだけれど、僕は皆に『レース・トゥ・ドバイ』と『DPワールドツアー選手権』を制覇したいと言っていたんだ。そして今週、僕は自力でそれを達成できる立場にあった。言うまでもなく、勝てば全ての目標が達成できたので、僕は勝つことに集中したんだ」

「僕はまだ世界ナンバーワンではない。僕はまだまだ自分のゴルフを磨かなければならない。もちろん今週は良かったよ。それでも素晴らしいプレーができたとは思っていないけれど、やり切ったね。いくつかパットを決めることができたし、いくつか素晴らしいチップショット、寄せワン、そして重要なパーセーブを決め切ることができた。それが大切だったんだ」

「だから、僕にはまだまだやるべきことがたくさんあるんだ。僕はそういう人間だし、そういう考え方をするんだ。僕はさらに欲するんだ」

「僕はこの勝利を存分に楽しむことになる。特に、一年の締めくくりだからね。でも、ここからさらに勝利を積み上げられればいいね」

フラストレーションか…。ホールアウト後、マキロイのシャツは引きちぎられていた

マキロイはパー5の2番で難しいショットを強いられるも、技ありのピッチショットでバーディをお膳立てし、リードを2打差に広げた。3番ではバンカーからの寄せワンでパーをセーブするも、続く4番ではその再現に失敗し、フィッツパトリックと首位の座を分け合う展開となった。

フィッツパトリックはピン側1.8mにつけた1番でバーディを奪うと、2番は寄せワン、そして6番と7番は見事なアイアンショットでスコアを伸ばし、8番では12mのパットを決め、「31」でハーフターン。10番でも見事なアイアンショットからバーディを奪い、首位タイに浮上。すると、「レース・トゥ・ドバイ」制覇へ向け、モリカワを1打で逆転するところまで追い詰めた。

モリカワは7番で見事な寄せワンからバーディを奪い、プレッシャーを軽減させるも、フィッツパトリックは15番で6m弱のパットを沈め、単独首位に躍り出た。

フロントナインで苦闘を強いられたマキロイは、10番では目を見張るショットでタップイン圏内につけてスコアを伸ばすと、フィッツパトリックがウォーターハザードにつかまった16番でスコアを落としたことで、単独首位に返り咲いた。

フィッツパトリックはバンカーにつかまった17番でもボギーをたたき、首位と2打差に転落。一方、モリカワは12番で4.8mのバーディパットを決め、フィッツパトリックに並んだ。

フィッツパトリックは18番で、バンカーからの寄せワンでバーディ奪って反撃し、通算14アンダーとしてクラブハウスターゲットを定めるも、「レース・トゥ・ドバイ」で首位を走るモリカワは14番で見事なチップショットからバーディを奪い、マキロイとの差をわずか1ストロークとした。

モリカワは素晴らしいアイアンショットでバーディを奪った15番で首位に並ぶと、マキロイが同じホールで、ピンに直撃したボールがバンカーに吸い込まれたことで、単独首位に立った。

モリカワはやるべきことをきっちりやり遂げ、17番で6mのバーディパットをねじ込んでリードを2打差に広げると、最終ホールは2パットのバーディで締めくくり、余裕を持ってタイトルを手にすることとなった。

マキロイは16番の3パットで実際的な優勝の可能性をなくすと、ティショットをミスした18番では2打目をウォーターハザードに入れた。この大会で2勝しているマキロイは、1日の大半をリーダーとしてプレーするも、上がり4ホールでスコアを3つ落とし、「74」でホールアウトした。

2021年 DPワールド ツアー選手権 ドバイ