欧州男子ツアー

欧州ツアー2020年シーズン記録誕生の瞬間を振り返る

2021/01/01 17:45
21歳のミンウ・リーが初優勝(※大会提供)

最速ラウンドから新スコア記録、そしてヨーロピアンツアーで初めてプレーした障がい者ゴルファーまで、2020年シーズンに生まれた記録誕生の瞬間を一挙に振り返ってみよう。

11月(2019年)

2020年シーズンは南アフリカの「アルフレッドダンヒル選手権」での歴史的な大会規定の変更から始まった。この大会では、高温のためツアー史上初めて試合日でのショートパンツ着用が許可されたのである。

12月(2019年)

シーズン2戦目の「アフラシアバンクモーリシャスオープン」で、ヨーロピアンツアー出場わずか4試合目だったデンマークのティーンエイジャー、ラスムス・ホイゴーがプレーオフの末にツアー初制覇を果たし、初めてツアー優勝を遂げた21世紀生まれの選手として歴史にその名を刻んだ。

その1週間後、土曜のラウンドでニック・フラナガンがコースレコードに並ぶ「63」をマークし、最終的には優勝したアダム・スコットと3打差の6位タイで大会を終えた。

1月

2020年最初の大会では、ツアーでは10年振りにアマチュアとしてトップ10入りしたジェイデン・シェイパーが波を起こした。彼のアマチュアとしての「南アフリカオープン」での成績は、1990年のアーニー・エルス以来の最高順位となった。

その後、リー・ウェストウッドがヨーロピアンツアー24年目で25勝目を挙げ、ヨーロピアンツアー通算勝利数で歴代8位となった。

また、この勝利によりワールドワイドの勝利数を44勝としたウェストウッドは、ツアー史上4つの異なる10年間で優勝を果たした3人目の選手となった。

セバスティアン・セーデルベリは、ウェストウッドによるアブダビでの歴史的な週に続く形で、「オメガドバイデザートクラシック」最終日に記録を塗り替えた。彼はこの日のラウンドをわずか97分でプレーしたのである。

2月

2月の「ヴィックオープン」では、記憶に残る瞬間が生まれた。ミンウ・リーが、姉のミンジーが2014年と2018年に制覇した同名の大会で、ヨーロピアンツアー初優勝を挙げたのである。

その後、2020年最初の世界ゴルフ選手権となった「WGCメキシコ選手権」で、ジョン・ラームがいくつかの記録を打ち立てた。第3ラウンドを10アンダーの「61」で回ったラームは、プロとしての自己ベストを記録しただけでなく、コースレコードを更新すると共に、WGCでの1ラウンドの最少スコアに並んだのである。

ラームがスペイン勢2人目の世界1位に(Sam Greenwood/Getty Images)

7月

ツアーが7月に、新型コロナウイルスの感染拡大による中断期間を経て再開した際、ロビン・シオシーグリストがGCアダムスタルのコースレコードに並ぶ「61」を3日目にマークし、先陣を切ってその名を記録に残した。

そのわずか数日後、ジョン・ラームは世界ゴルフランキングで頂上に登り詰めた2人目のスペイン人選手として、見事な金字塔を打ち立てた。

7月にはミゲル・アンヘル・ヒメネスも、それまでサム・トーランスの保持していた706大会というヨーロピアンツアー最多出場記録を塗り替える形で、ヘッドラインを飾った。

8月

この長く破られていなかった記録が更新される傾向はUKスイングの間も続き、「イングリッシュ選手権」では、優勝したアンディ・サリバンが4日間を「257」でラウンドし、ヨーロピアンツアーの最少通算スコア記録を更新した。それまでの記録だった「258」は、先ず1988年の「AGFビアリッツオープン」にてデビッド・ルエリンがマークし、その後、1990年の「トーラスモンテカルロオープン」でイアン・ウーズナムが同スコアをマークしていた。

8月には、ブレンダン・ラウラーも歴史に名を刻んだ。彼は、初めてヨーロピアンツアーでプレーしたプロの障がい者ゴルファーとなったのである。

またこの月には、「ISPSハンダUK選手権」を制覇したラスムス・ホイゴーもヘッドラインを飾った。彼はツアー出場わずか15試合目にして2勝目を挙げ、マッテオ・マナッセロに次ぐ史上2番目の若さでヨーロピアンツアーにて複数回勝利を挙げた選手となった。

9月

9月には、アジアンツアー4勝で米国出身のジョン・キャトリンが、勝者の輪に入った。南スペインで圧巻のパフォーマンスを見せた29歳は、手に汗握る最終日のバトルでかつての世界ナンバーワンであるマルティン・カイマーを退け、大会史上初となる完全優勝を果たし、ヨーロピアンツアー初優勝を遂げたのである。

10月

2020年にヨーロピアンツアーでトップ10に4回入ったローリー・キャンターは、36ホール終了時点の大会最小スコアを塗り替えた「イタリアオープン」で、初優勝にあと一歩のところまで迫った。

スケジュールが変更された今季のヨーロピアンツアーでは、新規開催となった「アフロディーテヒルズ キプロスオープン」と「アフロディーテヒルズ キプロスショーダウン」の2大会が、ツアーデビューを果たした。

この2大会により、キプロスはヨーロピアンツアーの開催された50カ国目の国となった。

年間王者はウェストウッドに(Francois Nel/Getty Images)

11月

初めて11月に「マスターズ」が開催されたオーガスタナショナルでは、多くの記録が生まれた。

この週にメジャー2勝目を挙げたダスティン・ジョンソンは、それまでタイガー・ウッズジョーダン・スピースが保持していた通算19アンダーの大会最少スコア記録を塗り替え、同大会で初めて通算20アンダーに達した選手となった。

ベルンハルト・ランガーが史上最年長での予選通過を果たしたほか、イム・ソンジェが大会初出場選手としての最少通算スコアを更新し、キャメロン・スミスが大会史上初となる、全4ラウンドで60台をマークする快挙達成を遂げた。

一方、その2週間後には、54ホール終了時点で大会をリードしていたアドリアン・メロンクが、ヨーロピアンツアー史上初のポーランド人王者にはなり損ねたものの、ツアーの大会のラウンド終了時点で首位に立った初のポーランド人選手として歴史にその名を残している。

12月

南アフリカスイングではクリスティアン・ベゾイデンハウトが躍動し、「アルフレッドダンヒル選手権」と「南アフリカオープン」を制覇して、2017年のジャスティン・ローズ以来となる2週連続優勝を果たした。

そして、シーズン最終戦では、リー・ウェストウッドが2つの新記録を樹立して、この年を締めくくった。

3度目の年間制覇を果たしたウェストウッドは、「レース・トゥ・ドバイ」最年長王者となるとともに、最初と最後の年間王者の期間を20年とする最長記録を打ち立てた。