欧州ツアー2020年シーズン記録誕生の瞬間を振り返る
最速ラウンドから新スコア記録、そしてヨーロピアンツアーで初めてプレーした障がい者ゴルファーまで、2020年シーズンに生まれた記録誕生の瞬間を一挙に振り返ってみよう。
11月(2019年)
2020年シーズンは南アフリカの「アルフレッドダンヒル選手権」での歴史的な大会規定の変更から始まった。この大会では、高温のためツアー史上初めて試合日でのショートパンツ着用が許可されたのである。
12月(2019年)
シーズン2戦目の「アフラシアバンクモーリシャスオープン」で、ヨーロピアンツアー出場わずか4試合目だったデンマークのティーンエイジャー、ラスムス・ホイゴーがプレーオフの末にツアー初制覇を果たし、初めてツアー優勝を遂げた21世紀生まれの選手として歴史にその名を刻んだ。
その1週間後、土曜のラウンドでニック・フラナガンがコースレコードに並ぶ「63」をマークし、最終的には優勝したアダム・スコットと3打差の6位タイで大会を終えた。
1月
2020年最初の大会では、ツアーでは10年振りにアマチュアとしてトップ10入りしたジェイデン・シェイパーが波を起こした。彼のアマチュアとしての「南アフリカオープン」での成績は、1990年のアーニー・エルス以来の最高順位となった。
その後、リー・ウェストウッドがヨーロピアンツアー24年目で25勝目を挙げ、ヨーロピアンツアー通算勝利数で歴代8位となった。
また、この勝利によりワールドワイドの勝利数を44勝としたウェストウッドは、ツアー史上4つの異なる10年間で優勝を果たした3人目の選手となった。
セバスティアン・セーデルベリは、ウェストウッドによるアブダビでの歴史的な週に続く形で、「オメガドバイデザートクラシック」最終日に記録を塗り替えた。彼はこの日のラウンドをわずか97分でプレーしたのである。
2月
2月の「ヴィックオープン」では、記憶に残る瞬間が生まれた。ミンウ・リーが、姉のミンジーが2014年と2018年に制覇した同名の大会で、ヨーロピアンツアー初優勝を挙げたのである。
その後、2020年最初の世界ゴルフ選手権となった「WGCメキシコ選手権」で、ジョン・ラームがいくつかの記録を打ち立てた。第3ラウンドを10アンダーの「61」で回ったラームは、プロとしての自己ベストを記録しただけでなく、コースレコードを更新すると共に、WGCでの1ラウンドの最少スコアに並んだのである。
7月
ツアーが7月に、新型コロナウイルスの感染拡大による中断期間を経て再開した際、ロビン・シオシーグリストがGCアダムスタルのコースレコードに並ぶ「61」を3日目にマークし、先陣を切ってその名を記録に残した。
そのわずか数日後、ジョン・ラームは世界ゴルフランキングで頂上に登り詰めた2人目のスペイン人選手として、見事な金字塔を打ち立てた。
7月にはミゲル・アンヘル・ヒメネスも、それまでサム・トーランスの保持していた706大会というヨーロピアンツアー最多出場記録を塗り替える形で、ヘッドラインを飾った。
8月
この長く破られていなかった記録が更新される傾向はUKスイングの間も続き、「イングリッシュ選手権」では、優勝したアンディ・サリバンが4日間を「257」でラウンドし、ヨーロピアンツアーの最少通算スコア記録を更新した。それまでの記録だった「258」は、先ず1988年の「AGFビアリッツオープン」にてデビッド・ルエリンがマークし、その後、1990年の「トーラスモンテカルロオープン」でイアン・ウーズナムが同スコアをマークしていた。
8月には、ブレンダン・ラウラーも歴史に名を刻んだ。彼は、初めてヨーロピアンツアーでプレーしたプロの障がい者ゴルファーとなったのである。
またこの月には、「ISPSハンダUK選手権」を制覇したラスムス・ホイゴーもヘッドラインを飾った。彼はツアー出場わずか15試合目にして2勝目を挙げ、マッテオ・マナッセロに次ぐ史上2番目の若さでヨーロピアンツアーにて複数回勝利を挙げた選手となった。
9月
9月には、アジアンツアー4勝で米国出身のジョン・キャトリンが、勝者の輪に入った。南スペインで圧巻のパフォーマンスを見せた29歳は、手に汗握る最終日のバトルでかつての世界ナンバーワンであるマルティン・カイマーを退け、大会史上初となる完全優勝を果たし、ヨーロピアンツアー初優勝を遂げたのである。
10月
2020年にヨーロピアンツアーでトップ10に4回入ったローリー・キャンターは、36ホール終了時点の大会最小スコアを塗り替えた「イタリアオープン」で、初優勝にあと一歩のところまで迫った。
スケジュールが変更された今季のヨーロピアンツアーでは、新規開催となった「アフロディーテヒルズ キプロスオープン」と「アフロディーテヒルズ キプロスショーダウン」の2大会が、ツアーデビューを果たした。
この2大会により、キプロスはヨーロピアンツアーの開催された50カ国目の国となった。
11月
初めて11月に「マスターズ」が開催されたオーガスタナショナルでは、多くの記録が生まれた。
この週にメジャー2勝目を挙げたダスティン・ジョンソンは、それまでタイガー・ウッズとジョーダン・スピースが保持していた通算19アンダーの大会最少スコア記録を塗り替え、同大会で初めて通算20アンダーに達した選手となった。
ベルンハルト・ランガーが史上最年長での予選通過を果たしたほか、イム・ソンジェが大会初出場選手としての最少通算スコアを更新し、キャメロン・スミスが大会史上初となる、全4ラウンドで60台をマークする快挙達成を遂げた。
一方、その2週間後には、54ホール終了時点で大会をリードしていたアドリアン・メロンクが、ヨーロピアンツアー史上初のポーランド人王者にはなり損ねたものの、ツアーの大会のラウンド終了時点で首位に立った初のポーランド人選手として歴史にその名を残している。
12月
南アフリカスイングではクリスティアン・ベゾイデンハウトが躍動し、「アルフレッドダンヒル選手権」と「南アフリカオープン」を制覇して、2017年のジャスティン・ローズ以来となる2週連続優勝を果たした。
そして、シーズン最終戦では、リー・ウェストウッドが2つの新記録を樹立して、この年を締めくくった。
3度目の年間制覇を果たしたウェストウッドは、「レース・トゥ・ドバイ」最年長王者となるとともに、最初と最後の年間王者の期間を20年とする最長記録を打ち立てた。