欧州男子ツアー

不朽のスコアカード ブランドン・ストーンの「60」

2020/07/04 10:19
2018年にスコットランドオープンで優勝したブランドン・ストーン(Harry How/Getty Images)

2018年、ブランドン・ストーンはガレインGCで開催された「アバディーンスタンダードインベストメント スコットランドオープン」の最終日に「60」をマークし、4打差で大会を制覇した。このとき、ストーンはエリートクラブの仲間入りを果たした。

最終日の「60」は、ヨーロピアンツアー史上、勝者による最終日のベストスコアに並ぶもの。それまでにジェイミー・スペンス(1992年キヤノンヨーロピアンマスターズ)、イアン・ウーズナム(1999年トーレスモンテカルロオープン)、そしてラファ・カブレラベロー(2009年オーストリアゴルフオープン)が記録していた。

第3ラウンドまでのスコアを含めると、当時ヨーロピアンツアーで「60」をマークした18人目の選手となった。なお、その後、ロバート・ロックも2019年の「ドバイデューティーフリーアイルランドオープン」で「60」を出した。最終ホールでバーディパットを決めていれば、更にスコアを1打縮められていたとことだった。

首位のイェンス・ダントープと3打差で最終日をスタートしたストーンは、出だしの2ホールで連続バーディを奪い、瞬く間に2ストロークの差を縮めることに成功した。一日を通してリーダーボードが動き続けるなか、ストーンはパー5の5番でタップインバーディを奪うと、9番でもバーディを奪い、通算14アンダーとして首位に肉薄した。

この日のストーンはアイアンプレーが抜群の冴えを見せ、10番と12番でバーディを奪うと、14番で短いバーディパットを沈めてエディ・ペパレルと並ぶ首位タイに浮上し、更に15番でもバーディを奪って初めて単独首位へと抜け出した。

16番で9mのイーグルパットを沈め、さらにリードを広げることに成功したのだが、このパットの重要性は本人も認めている。「16番のパットにより、この大会は自分がもらったと、ほぼ言えるようになった」とストーン。「最高の気分だった。あと3回良いスイングをすれば良いだけだというのは分かっていたし、それをやり切れたときは、感情が溢れ出てきた。感情を抑えるのにとても苦労したよ」

通算20アンダーに達していたストーンは、残り2ホールを1アンダーで回れば、ツアー史上初の「59」をマークすることができた(この後、オリバー・フィッシャーが「59」を達成している)。彼は見事なショットでピンそば3m以内につけた18番で絶好のチャンスを迎えたが、パットは無情にも最後に左へ切れた。

歴史的快挙の達成は手からこぼれ落ちたものの、ストーンは記録と記憶に残るラウンドを完遂してヨーロピアンツアー3勝目を挙げた。ストーンは「素晴らしいね。本当のことを言うと、僕は18番グリーンへ上がるまで自分のスコアを認識していなかったんだ」と述べた。

「今日は何もかもがうまく行く一日で、ショットは素晴らしく、いくつか見事なパットを沈め、もちろん最後にパットを外して60で終えたのは少し残念ではあったけれど、文句は言わないよ。僕のキャディが僕のところに来て、こういうパットを打つ機会はそうあることではないから、ライン読みは君に任せると言ったんだ。僕はグリーン上を歩きながら、僕はこのパットのライン読みはしないよ、すべて君に任せるといったんだ」。

「彼の読んだライン通りに打てたのだけど、彼のタッチが合っていなかった、少しタッチが弱過ぎた。たぶん、彼は正しかった。ラインから外れてしまったけれど、これを受け入れるよ」