ヨーロピアンツアー最多勝選手は?
今回はヨーロピアンツアーの歴史で最も勝利数の多い選手について掘り下げてみる。
ヨーロピアンツアー史上、30勝以上の偉業を達成したのは5人のみである。
セベ・バレステロス、ベルンハルト・ランガー、タイガー・ウッズ、コリン・モンゴメリー、そしてサー・ニック・ファルドがその5人のレジェンドで、各選手はヨーロピアンツアーでの勝利を通してそれぞれ支配的な強さを証明してきた。
セベ・バレステロス:50勝
偉大なる故セベ・バレステロスは、現在もヨーロピアンツアー史上、最も輝いた選手としてその名を残しており、彼の記録が破られる気配はない。
20年足らずの間に50勝を挙げたメジャー5勝のセベは、19歳だった1976年の「オランダオープン」で、ハワード・クラークに8打差をつけて最初の勝利を遂げた。
その後、1976年から1992年にかけて、17年連続で勝利を挙げた。その間、「全英オープン」3勝(1979年、1984年、1988年)、「マスターズ」2勝(1980年、1983年)を含む47勝を積み上げた。このうち、ツアー6勝を挙げた1986年は、間違いなくヨーロピアンツアーの歴史における最高の1年であり、今でも1シーズンでツアー公式大会6勝を挙げたただ一人の選手となっている。
その後、2勝を挙げた1994年には、「ベンソン&ヘッジス国際オープン」でニック・ファルドに2打差をつけて優勝すると、「メルセデスドイツマスターズ」ではホセ・マリア・オラサバルとアーニー・エルスを撃破して優勝した。バレステロスはその翌年の1995年に「プジョースペインオープン」で同じスペイン人選手のイグナシオ・ガリードとホセ・リベロに2打差をつけ、大会3勝目を挙げるとともに、最後の勝利となったツアー50勝目を挙げた。
ベルンハルト・ランガー:42勝
ベルンハルト・ランガーはプロ通算116勝を挙げており、うち42勝は1980年から2002年にかけて記録したヨーロピアンツアーでの勝利となっている。
バレステロス同様、大差をつけてヨーロピアンツアー初優勝を遂げたランガーは、23歳だった1980年に「ダンロップマスターズ」でブライアン・バーンズに5打差をつけて勝利した。
その後、16年連続でツアー制覇を果たしたランガーは、その間「マスターズ」で2勝(1985年、1993年)を挙げるとともに、1986年に始まった世界ランキングで最初に世界ナンバーワンにランクされた選手として歴史に名を刻んだ。
ヨーロピアンツアーでの最後の勝利となった2002年の「ボルボマスターズアンダルシア」は、劇的な幕切れとなった。ランガーとコリン・モンゴメリーによるプレーオフは、日没により続行不可能となり、両者による優勝が決まったが、これはランガーにとって、同様の理由によりセベ・バレステロスと優勝を分けた1986年「ランコムトロフィー」に続く2度目の二者による同一大会優勝となった。
以降、その驚異的な勝利のメンタリティをシニアツアーで発揮しているランガーは、11年連続でシニアメジャー制覇を果たしている。
タイガー・ウッズ:41勝
昨年、サム・スニードの持つ82勝という米PGAツアー最多勝記録に並んだウッズだが、そのうちの33勝(メジャー15勝、世界ゴルフ選手権18勝)はヨーロピアンツアーでの勝利としてもカウントされている。
彼は1998年から2009年にかけて、ヨーロピアンツアー個別の大会でも8勝を挙げており、ヨーロピアンツアー通算41勝のうちの最初の勝利を1997年の「マスターズ」で記録した。
同年、プレーオフでアーニー・エルスを退けたヨーロピアンツアーの「ジョニーウォーカークラシック」で優勝を果たすと、2000年11月にも同大会を制覇した。
この他、彼は「ドイツバンクSAPオープン」で3勝(1999年、2001年、2002年)を挙げており、「ドバイデザートクラシック」も2006年と2008年に制覇している。
今も現役でプレーするウッズは、見事なカムバックを果たした2019年の「マスターズ」で直近のヨーロピアンツアー制覇を果たしている。
コリン・モンゴメリー:31勝
コリン・モンゴメリーはそのキャリアを通じ、ヨーロピアンツアーの大会には626回出場しており、これまで史上4位となるツアー31勝を記録している。
1988年に新人王を獲得したモンゴメリーは1989年の「ポルトガルオープン」でヨーロピアンツアー初優勝を果たした。当時の記録に並ぶ11ストロークの大差をつけての優勝だった(その後、ウッズが2000年の「全米オープン」でこの記録を更新)。
その後、1991年の「スカンジナビアマスターズ」でセベ・バレステロスに1打差をつけてツアー2勝目。1993年の「ハイネケンオランダオープン」を制覇し、2年おきにツアー優勝を挙げると、そこから10年連続でツアー優勝を果たした。その間、1993年から1999年にかけて7年連続で年間王者となるなど年間王者に8度輝いた。
モンゴメリーは最終日に「65」をマークした2007年「スマーフィットヨーロピアンオープン」でニコラス・ファスに1打差をつけて優勝し、31度目のヨーロピアンツアー制覇を果たした。
50歳となってシニアツアーに参戦し、以来シニアメジャー3勝を挙げているほか、ステイシュアツアー(欧州シニアツアー)でも6勝を挙げている。
サー・ニック・ファルド:30勝
メジャー6勝に加え、ヨーロピアンツアー24勝を果たしたニック・ファルドは、今でもヨーロピアンツアー史上最も輝きを放った選手の一人となっている。
ヨーロピアンツアーで瞬く間に成功を収めた彼は、ルーキーシーズンだった1977年に、プレーオフ1ホール目でバーディを奪った「スコルラガーインディビジュアル」を制覇し、ヨーロピアンツアー初制覇を遂げた。
ファルドによるその後の3勝はいずれもケン・ブラウンを下しての勝利となり、1978年、1980年、そして1981年のヨーロピアンツアー「PGA選手権」でブラウンに競り勝って優勝を遂げた。
さらにヨーロピアンツアーで8勝を挙げたファルドは、ミュアフィールドで開催された1987年の「全英オープン」で、メジャー6勝のうちの最初のメジャー制覇を遂げた。その後、1990年と1992年にも「全英オープン」を制覇し、1989年、1990年、そして1996年には「マスターズ」を制覇している。
1996年の「マスターズ」制覇は、自身6度目のメジャー制覇にして、ヨーロピアンツアーにおける最後の勝利となった。首位のグレッグ・ノーマンと6打差で最終日をスタートした彼は、豪州の名手がオーガスタナショナルで苦闘するなか、結果的には5打差で勝利を収めた。
ファルドはその後、米PGAツアーの1997年「日産オープン」と、デビッド・カーターと組んだ1998年「ゴルフワールドカップ」で優勝を果たした。セントアンドリュースで開催された2015年の「全英オープン」でプロゴルファーとして引退。現在は米国のテレビ界で解説者として成功裏にキャリアを送っている。
ヨーロピアンツアー20勝以上の選手
このリストで最近勝利を挙げたのは、2020年「アブダビHSBC選手権」でヨーロピアンツアー25勝目を挙げたリー・ウェストウッドである。
29勝:イアン・ウーズナム
28勝:アーニー・エルス
25勝:リー・ウェストウッド
23勝:ホセ・マリア・オラサバル
21勝:ミゲル・アンヘル・ヒメネス
21勝:サム・トーランス