「ロレックスシリーズ」第3戦までを総括
今季欧州ツアーの高額賞金大会「ロレックスシリーズ」は、全8戦中まだ3戦を消化しただけだが、それぞれの大会は興味深いものとなっている。
このうち「アブダビHSBC選手権」と「アバディーンスタンダードインベストメント スコットランドオープン」の2大会では、それぞれシェーン・ローリーとベルント・ヴィースベルガーが「ロレックスシリーズ」初制覇を果たした。
その間、開催された「ドバイデューティーフリー アイルランドオープン」では、ジョン・ラームがここ3年間で同大会2勝目を挙げるとともに、3度目の「ロレックスシリーズ」制覇を果たした。
そこで、アブダビ、アイルランド、そしてスコットランドで目を引いた出来事を振り返ってみる。
ロレックスシリーズで稼ぎまくるラーム
ラームのベストを引き出す「ロレックスシリーズ」には何かがあるようだ。2年前、ルーキーシーズンだったラームは「アイルランドオープン」を制覇して、欧州ツアーでの船出に漕ぎ着けた。その後、このスペイン人選手は「DPワールドツアー選手権」で「ロレックスシリーズ」2勝目を挙げて目覚ましい活躍を見せたシーズンを締めくくると、2018年には母国で「スペインオープン」を制覇した。
ラームは今年、ラヒンチで再びアイルランドのギャラリーにその腕前を披露した。最初の2日間を「67」と「71」でラウンドすると、土曜を「64」、そして最終日を「62」で回り、2打差で大会を制覇して史上初となる「ロレックスシリーズ」3勝目を挙げたのである。
ラームは勝てなかった大会でも惜しいところまで行っている。シリーズ8大会の出場で3勝に加え、トップ5を6回、トップ10を7回記録しており、これまで「ロレックスシリーズ」で驚愕の418万5931ユーロを稼ぎ出している。これは1試合平均53万3241ユーロを稼いでいる計算になる。
好スコア続出
昨年、ブランドン・ストーンは「スコットランドオープン」最終日に「ロレックスシリーズ」歴代最少スコアとなる10アンダー「60」をマークして大会を制覇し、歴史にその名を刻んだ。
それからの1年間、「ロレックスシリーズ」で10アンダーが出たのは3回にも及んだ。ロバート・ロックがラヒンチで「60」をマークすると、ヴィースベルガーはザ・ルネサンスクラブで「61」をマーク。一方、シェーン・ローリーはアブダビでの第1ラウンドで「62」をマークした。
好スコアの続出は熱戦の呼び水となり、どの大会も最後まで優勝の行方が分からない展開となった。ラームによるアイルランドでの栄冠は、今季「ロレックスシリーズ」で唯一勝者と後続の間に2打差以上がついた大会となっている。
手に汗握る幕切れ
72ホール目のバーディ。最終日「62」。プレーオフ。これが今季これまで開催された「ロレックスシリーズ」3戦の幕切れである。
ローリーはアブダビGCの18番(パー5)で、勝利にはバーディが必要な状況だったが、3Wで放った2打目をピン側3mに乗せると、2パットのバーディを奪い、リチャード・スターンに1打差をつけて勝利した。
アイルランドでのラームにも、首位のロバート・ロックを5打差で追う状況のなか、勇敢な最終日が求められたのだが、彼は最終ラウンドに見事なゴルフを展開した。
1イーグル、8バーディの「62」をマークした24歳は、すぐにファンのお気に入りとなったアイルランドでギャラリーを沸かせ、フィールドを駆け上がると2打差での勝利を遂げたのである。
ヴィースベルガーはプレーオフ3ホール目でフランスのベンジャミン・エベールを下し、スコットランドでの勝利をたぐり寄せた。最終日「62」をマークしたエベールがクラブハウスターゲットを通算22アンダーに定めるなか、オーストリアのヴィースベルガーは一時単独首位に立つも、17番でボギーを叩き、18番でパーパットを決め、勝負をプレーオフへと持ち越した。
両者ともプレーオフ1ホール目をパーとし、2ホール目ではエベールが短いウィニングパットを外してバーディを奪い損ねた。3度目のエクストラホールではエベールが3パットで劣勢に立つと、ヴィースベルガーは危なげなくパーでホールアウトし、「ロレックスシリーズ」初制覇を果たすとともに、シーズン2勝目を挙げたのである。
近日再開
シリーズ次戦はウェントワースでの「BMW PGA選手権」。その数週間後には「イタリアオープン」が開催される。さらに、3週連続「ロレックスシリーズ」開催となる「トルコ航空オープン」、「ネッドバンクゴルフチャレンジ」、そして最終戦の「DPワールドツアー選手権」を経て、2019年シーズンは終幕を迎える。
まだまだ多くのドラマが約束されている。