小林正則「ちょっとは見せられたかな」
「いやー、腹が立ってしょうがない。腹立つなぁ~」とイライラを吐き出したのは、ホールアウト直後の小林正則。「タイランドゴルフ選手権」2日目、最終ホールで2メートル弱のパーパットをショートさせてのボギーフィニッシュは、この男の表情を曇らせた。
だが、通算4アンダーからスタートした2日目。10番からのインスタートで5バーディを奪って折り返し、さらに2バーディを追加して通算11アンダーとした小林の名前は、4番を終えてリーダーズボードのトップにあった。
「全体的にショットが良かった。日本シリーズでは寒くて体をボールにぶつけて飛ばしていた感じだったけど、こっちはそういう感じはない。今週はドライバーもいいし、アイアンの距離感もいい。パターも僕にしてはだいぶいい」。
5番(パー3)、「ちょっと(調子に)乗り過ぎた」というティショットは、ピン付近にキャリーして、そのまま右サイドの刈り込まれたエプロンへと落ちてしまう。そこから寄せきれずにこの日初めてのボギーを叩く。8番(パー3)で1.5メートルにつけてバーディを取り返したが、最終9番は「ラインばっかり気にして、タッチに頭がいかなかった。ふがいない」。この日5つスコアを伸ばして通算9アンダーでホールアウトしたものの、上がりの悪さで満面の笑みとはいかなかった。
現在、アジアンツアーの賞金ランキングは5位。今週の活躍次第ではアジアンツアーの賞金王、そして断言はできないが推薦でのマスターズ出場という道も見えてくる。来年はヨーロピアンツアーとの共催試合の出場資格もほぼ確定させるなど、前途は明るい。
「藤田さんは、すごく先を見てやっている。ああいうのじゃないといけないと思う」と小林。「日本人でもやれるんだというところを見せたいですね。今日は飛距離では勝てなかったけど、スコアでは勝てたからちょっとは見せられたかな」。大好きなアジアの空気を吸い込んで、小林が躍動する。(タイ・チョンブリ/今岡涼太)